【フィリピン・セブ島現地オプショナルツアー勢揃い!】ジンベイザメ・アイランドホッピング・ボホール島 ~
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セブ島ダイビング初心者完全ガイド|体験ダイビングの始め方・費用・おすすめスポット・安全対策・旅の計画まで

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 セブ島が初心者ダイビングに最適な理由

透明度・水温・通年で潜れる気候の概要

セブ島周辺の海は一年を通して暖かく透明度が高いことで知られています。水温は概ね27~30℃ほどで推移し、真冬でも薄手のウェットスーツで快適に潜れる暖かさです。特に乾季(12~5月)は天候が安定し海も穏やかで、視界30mを超える日もある絶好のコンディション。雨季(6~10月)でもスコールはあるものの潜水自体は可能で、台風が直撃することは比較的少ないエリアです。年間を通じて穏やかな気候に恵まれているため、長期のオフシーズンを気にせず通年でダイビングを楽しめるのがセブ島の大きな魅力です。

日本からのアクセスのしやすさと現地ショップの充実(日本語対応の有無)

成田や関西からマクタン・セブ国際空港への直行便が運航しており、フライト時間は約5時間前後と比較的短距離です。到着後、マクタン島内のリゾートなら空港から車で数十分とすぐ移動でき、そのまま翌日にはダイビングに臨めます。現地には日系や日本語対応のダイビングショップが数多く存在し、言葉の不安がある初心者でも安心です。実際、セブには日本人経営や日本語スタッフ常駐のショップが多く、講習やブリーフィングを日本語で受けられる環境が整っています。器材の使い方から潜り方まで丁寧に説明してもらえるため、初めての海外ダイブでも心強いでしょう。また、大手リゾート内のショップから小規模なガイドサービスまで選択肢が豊富で、自分のペースや予算に合わせて最適なショップを選べる点も魅力です。

アイランドホッピングと組み合わせやすい地の利

セブ島は周辺に魅力的な離島が点在しており、**アイランドホッピング(島巡り)**とダイビングを組み合わせたプランが立てやすいのも利点です。実際、多くの現地ショップがアイランドホッピングやマリンスポーツをセットにしたメニューを用意しており、ダイビング後に離島のビーチでのんびり過ごしたり、シュノーケリングやマリンアクティビティを楽しんだりすることも可能です。例えば午前中にボートで離島へ渡って体験ダイビングを行い、休憩中に島上陸してランチや観光、その後シュノーケリングも満喫…といった欲張りな過ごし方もセブなら実現できます。島々が近接している地理のおかげで移動時間も短く済み、効率よく複数の体験ができるのがセブ島ダイビングの醍醐味です。「せっかくの南国旅行だから色々やりたい」という方にとって、セブ島はまさにうってつけの目的地と言えるでしょう。

初心者に向くポイント条件(浅場・穏やかな流れ・エントリーの容易さ・救援体制)

セブ島には初心者が安心して潜れるダイビングポイントが豊富です。その条件としてまず水深が浅めで穏やかな海況であることが挙げられます。例えばマクタン島沖やオランゴ島周辺のポイントは、水深5~15m程度の浅場が広がり流れも緩やかで、初めての方でも落ち着いて呼吸や泳ぎに集中できます。エントリー(海への入り方)が容易であることも重要です。ボートからのエントリーでも梯子(ラダー)で安全に昇降できる設備が整っていたり、ビーチエントリーの場合も足場の安定した場所が選ばれています。

また、各ショップは救急用の酸素ボンベや救命キットをボートに常備し、万一のトラブル時にも速やかに対処できる体制を整えています。インストラクター一人あたりの担当人数も少なく設定され、マンツーマンまたは少人数制で手厚くサポートしてくれるので、海中で困った時もすぐに助けてもらえます。これらの条件が揃ったセブ島の海は、まさに「初めての一本」にふさわしい安心・安全なフィールドなのです。

ダイビングの種類と参加方法の基本

体験ダイビング(Discover Scuba Diving/DSD)とは

体験ダイビングとは、ダイビングのライセンス(Cカード)を持っていない初心者がインストラクターの指導下で水中世界をのぞいてみるプログラムです。PADIでは「Discover Scuba Diving(ディスカバー・スクーバ・ダイビング)」と称し、略してDSDとも呼ばれます。ライセンス講習とは異なり手軽に参加できる半日~1日のコースで、器材の基本的な使い方や水中での呼吸などの説明を受け、インストラクター同行で最大水深12mまで潜れるようデザインされています。

文字通り“スクーバダイビングを発見する”入門体験であり、海中で息ができる感動や、色とりどりの魚たちとの出会いを気軽に味わえるのが魅力です。事前に難しい試験やスキルチェックは不要で、健康であれば誰でも挑戦できます。初めての方はこの体験ダイビングから始め、もし「もっと潜りたい!」「海が気に入った!」と思ったら後述のライセンス取得にステップアップするのが一般的です。

ファンダイビングとライセンス(OWD/AOW)の違い

ファンダイビングとは、既にダイビングライセンス(Cカード)を取得済みのダイバーが楽しむレクリエーションダイブのことです。ライセンス保持者は基本的なスキルと知識を身につけているため、インストラクターの直接介助なしでバディと共に潜水計画を立てて潜ることができます(※ただし多くの場合、初めて潜るエリアではガイドを依頼します)。一方、ライセンスの種類にも段階があります。最初に取得するOWD(オープンウォーターダイバー)は水深18mまでの基本的なスクーバダイビングが許可されるエントリーレベルの資格です。

さらにステップアップのAOW(アドバンスト・オープンウォーター)を取得すれば、水深30mまでやナイトダイブなどより高度なダイビングも可能になります。ファンダイビングではこうした資格に応じて潜れる範囲が異なります。体験ダイビング(DSD)が単発のお試しであるのに対し、ライセンス取得後は世界中の海で自立したダイバーとして潜れるのが大きな違いです。またファンダイブでは自分の器材を持参する人も多く、より自由度高く水中散策を楽しめます。まずはDSDで雰囲気を掴み、気に入ればOWD講習に挑戦するのがおすすめの流れです。

スノーケリングとの違い(必要装備・水深・安全管理)

スノーケリング(シュノーケリング)とダイビングは、一見どちらも海中観察を楽しむアクティビティですが、装備や潜れる深さ、安全管理に明確な違いがあります。スノーケリングはマスクとシュノーケル、フィンという簡単な道具のみで水面付近に浮かび、顔を水中に浸けて浅瀬の魚やサンゴを観察します。基本的に呼吸は水上の空気を吸うので、水深はせいぜい1~2m程度までに留まり、潜水時間も短時間です。

一方のスクーバダイビングは自分で圧縮空気の入ったタンクを背負い、レギュレーターという器材を通じて水中で呼吸を確保します。そのため数十分以上にわたって水中に留まれ、水深も初心者でも最大12m程度まで潜行可能です。装備は重厚で、BCD(浮力調整具)やウェットスーツなどフルセットを身につける必要があります。

また安全面でも差があり、スノーケリングは基本的に資格不要で自己責任ですが、ダイビングは専門の資格や講習が求められ、体験プログラムであっても有資格のインストラクターが安全管理を徹底します。万一のトラブル時の対処法(耳抜きや緊急浮上など)もダイビングではしっかり教育されます。要するに、スノーケルは気軽な水面観察、ダイビングは本格的な水中探検という位置付けです。それぞれ魅力はありますが、間近で魚と泳ぎたい、立体的に海中を冒険したいなら断然ダイビングが醍醐味に溢れています。

当日の流れ(説明→浅場練習→ボート/ビーチから1~2本)

体験ダイビング当日の一般的な流れを押さえておきましょう。まず朝、ショップに集合したらインストラクターからダイビングの概要説明(ブリーフィング)を受けます。器材の装着方法、水中での呼吸の仕方、耳抜きやハンドシグナル(手信号)の基本など、安全に潜るための知識を丁寧に教えてもらいます。続いて浅場での練習です。プールや海の浅い場所で、実際に顔を水につけて呼吸してみたり、マスククリアやレギュレーター(呼吸器)の練習を行います。

インストラクターが一つひとつサポートしてくれるので落ち着いて取り組みましょう。準備ができたらいよいよ本番のダイブです。多くの場合、ボートに乗って沖合のポイントまで出て1本目のダイビングを実施します。水中ではインストラクターが常に近くにいて、手を引いたりタンクを支えたりしながら誘導してくれるので安心です。

1本終えたら船上で休憩し、コンディションが良ければ2本目にチャレンジすることも可能です(プランによります)。午前中で2ダイブを終えてお昼にはホテルへ戻る半日コースが一般的ですが、ボート上でランチを挟み午後までゆったり2ダイブ楽しむプランもあります。初めての方は無理のない1~2本で十分満足できるでしょう。当日は説明→浅場練習→ダイブ本番→休憩→2本目(希望者)という流れで進みますので、緊張せず順を追って海に慣れていきましょう。

初心者の最大水深の目安(講習下での安全レンジ)

初心者ダイバーが潜れる水深には安全上の目安があります。体験ダイビング(DSD)の場合、先述の通り最大でも水深12mまでに制限されています。これは減圧不要限界(ノンデコ)内で安全に浮上でき、且つ深過ぎてパニックにならない範囲として設定されたものです。一方、ライセンス講習中の初心者も段階的に深度を伸ばしていきます。たとえばPADIオープンウォーター講習では、初回の海洋実習では浅め(5~6m程度)から始め、最終ダイブで18m付近まで経験します。

認定後もOWDランクでは基本18m以内が推奨深度です。これは体への窒素負荷や耳抜きの難易度が増すのが大体20m前後からだからです。初心者のうちは無理に深く潜る必要はありません。浅い場所ほど太陽光が届き明るく魚影も濃いので、十分に楽しめます。よく「もっと深く潜りたい」と思うかもしれませんが、深度が増すとそれだけリスクや学ぶべきスキルも増えるため、まずはインストラクターの指示した安全レンジ内で潜ることを守りましょう。セブ島周辺は5~15mの浅場にサンゴや熱帯魚が豊富なので、初心者でもその範囲で最高の水中体験ができるはずです。

参加条件・年齢・健康チェック

参加可能年齢の目安と保護者同意

ダイビングには最低参加年齢が設定されています。PADIでは満10歳以上から体験ダイビングやジュニア・ライセンス取得が可能です。10~11歳の子供は深度などに追加制限がありますが、インストラクターが一対一で付き添うことで安全に楽しめます。未成年(18歳未満)の場合は保護者の同意書署名が必要で、参加当日も可能であれば親御さんが同行することが望ましいでしょう。逆に上限年齢は明確にはなく、健康であれば50代60代から初めてダイビングに挑戦する方もいらっしゃいます。

ただし高齢の方は後述する健康チェック項目をクリアする必要があります。親子で体験ダイビングに参加するケースも多く見られます。家族みんなで参加する場合、子どもはインストラクターが優先的にケアしてくれますが、親御さんも常に気を配り一緒にフォローしましょう。10代前半のお子さんは疲れやすいので無理な本数を入れず短時間で切り上げることもポイントです。楽しい初ダイブ体験となるよう、年齢に応じた無理のない計画を立ててください。

メディカルフォームと既往歴(耳・呼吸器・心血管・妊娠など)

安全にダイビングを行うため、参加前には健康状態の確認が必須です。多くのショップでは事前にメディカルチェックシート(病歴書)の記入提出を求めています。これには耳抜きや呼吸に影響する持病がないか、現在妊娠していないか等の質問が含まれます。具体的には、中耳炎や耳の手術歴、喘息などの呼吸器疾患、心臓病や高血圧、てんかんの有無、糖尿病や閉所恐怖症の傾向などがチェック項目です。これらの項目で「はい(該当する)」がある場合、医師の許可証明(診断書)が求められることがあります。

特に耳鼻系のトラブル(例:慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎)は耳抜き不良につながるため注意が必要です。また妊娠中の方は万一に備えダイビング参加は控えるのが一般的です。過去に気胸を起こしたことがある方、呼吸器の手術歴がある方も医師相談が推奨されます。これら既往歴がなくとも、当日風邪気味で鼻が詰まっている場合などは無理せず延期を検討しましょう。ダイビングは基本的に健康な人であれば老若男女が楽しめるスポーツですが、安全第一のため正直に申告し、必要に応じて専門医のアドバイスを受けてください。

視力と度付きマスク、コンタクトの扱い

視力が悪い方でもダイビングは可能です。水中ではマスクを通して見るため基本的に裸眼の状態になりますが、多くのショップで度付きレンズのマスクをレンタルできます。近視用に-1.0刻み程度で度付きマスクを用意しているお店があるので、予約時に自分の視力を伝えて手配してもらうと良いでしょう。特に強度の近視・乱視の場合、可能であれば日本から自分専用の度付きマスクを持参するのも一案です。一方、ソフトコンタクトレンズを装用したまま潜ることも可能です。

ゴーグルと違いダイビングマスク内には水が入る可能性がありますが、基本的にソフトレンズなら海水で流れ落ちることは少ないです(心配な場合は使い捨てレンズにするか、潜水後にコンタクトがあるか確認しましょう)。ハードコンタクトは水中で失いやすく、またマスククリア時に外れる恐れがあるためおすすめしません。コンタクト使用者は目を開けたままマスク脱着の練習を事前にしておくと安心です。また、潜水中は視界が通常より近く拡大されるため、裸眼でも意外と見えるという声もあります。いずれにせよ、視力矯正が必要な方は事前に相談し、安全に海中観察ができるよう準備しておきましょう。

船酔い対策(前日行動・薬の使い方)

船に弱い方は船酔い対策もしっかり行いましょう。まず前日は深酒や寝不足を避け、十分な休養を取っておくことが肝心です。疲労や二日酔いは船酔いを誘発しやすくなります。当日の朝食も、空腹でも満腹でも酔いやすいため、軽く消化の良いもの(おにぎりやパン、フルーツなど)を適量摂りましょう。出航30分~1時間前には酔い止め薬を服用すると効果的です。市販のトラベルミンやアネロンなどを、水と一緒に飲んでおきます。薬が苦手な場合は梅干しや生姜キャンディーなども多少の効果があります。

船上ではできるだけ波の揺れが少ない中央部に座る、遠くの水平線を眺める、風通しの良い場所にいる、といった工夫で酔いを軽減できます。読書やスマホ操作のような近距離に焦点を合わせる行為は避けましょう。もし気分が悪くなってきたら、我慢せず早めに吐いてしまった方が回復は早いです。吐くときは船べりから風下に向かって行いましょう。吐いた後は水分補給し、可能なら横になって目を閉じしばらく休むと楽になります。それでも辛い時は無理せず次のダイビングを見送り休息に徹する決断も大事です。船酔い対策を万全にしておけば、不安が減り船上での時間も快適に過ごせるでしょう。

寒さ・日焼け・脱水の予防

南国のセブとはいえ、長時間海に浸かっていると体が冷えることがあります。特にボート移動中は風で体温が奪われやすいので、ボートコートやウインドブレーカーを用意すると安心です。濡れたままで風に当たらないよう、休憩中はタオルで体を拭き保温につとめましょう。ウェットスーツも自分に合った厚さ(セブなら通常3mm程度)を着用することで寒さを防げます。また日差しが強烈なので日焼け対策も欠かせません。日焼け止めクリームは環境に優しい成分のもの(サンゴに有害なオキシベンゾン等を含まない製品)を選び、こまめに塗り直します。顔や首の後ろ、手の甲など忘れずに。ラッシュガードや薄手の長袖を着て肌の露出を減らすのも効果的です。

帽子やサングラスもボート上では必需品でしょう。そして南国では意外と脱水症状になりがちです。汗や呼吸で水分が失われる上、海水に浸かっていると喉の渇きを感じにくいため注意が必要です。ダイビングの合間には意識して水やスポーツドリンクを飲み、ミネラル分も補給してください。アルコールやカフェイン飲料は利尿作用で脱水を進めるので控えめに。寒さ・日焼け・脱水への予防を万全にすることで、体調を崩さず楽しいダイビング体験を持続できます。

安全ガイドラインとリスク管理

ブリーフィング・バディ制・ハンドシグナル

ダイビングでは潜る前のブリーフィング(事前説明)がとても重要です。インストラクターまたはガイドが、その日のポイントの水深・地形・流れ、潜水時間や計画、見られる生物、緊急時の手順などを詳しく説明してくれます。初心者の方は特に真剣に耳を傾け、不明点は質問しましょう。また、基本としてバディ制で潜ることも覚えておきましょう。通常2~3人一組でお互いを見守り合う仕組みで、体験ダイビングではインストラクターが事実上のバディ役です。水中では常に近くにバディがおり、何かあればすぐ合図して助け合うことができます。

コミュニケーション手段として**ハンドシグナル(手信号)**も事前に習います。「OK」(親指人差し指で丸)、「異常・問題あり」(手を平を下に小刻みに振る)、「浮上したい」(親指を上に立てる)、「耳抜きできない」(耳に指を当てる)など、一通りのサインを覚えておきましょう。言葉が通じなくても手信号で意思疎通できるので、水中では遠慮なくどんどん使うことが大切です。これらブリーフィング内容の理解、バディとの協力、正確なハンドシグナルの活用が、安全潜水の基礎となります。初心者だからと受け身にならず、自分も積極的に安全意識を持って臨みましょう。

上昇速度・安全停止・ノンデコ圧の考え方

安全に浮上するためにはゆっくりとした上昇速度を守る必要があります。一般的な目安は1分間に9~18m程度(より安全を期すなら9-10m/分)と言われ、これは水深によっても調整します。急浮上すると減圧症や肺の損傷リスクが高まるため、初心者のうちは特にインストラクターの速度に合わせ、決して先に一人で浮上しないでください。浮上途中には**安全停止(セーフティストップ)も行います。

通常、水深5m付近で3分間ほど停止し、身体に溶け込んだ窒素を放出させるための余裕時間を取ります。安全停止は必須ではありませんが「とにかくゆっくり浮上する」ための習慣として、初心者でも必ず実施するよう指導されます。また、ダイビング計画ではノンデコ圧(No Decompression Limit)**という考え方も重要です。これは減圧症にならない範囲で潜れる時間・深度の限界値のことで、レクリエーショナルダイビングではこの範囲内で潜るのが原則です。

例えば水深12mなら無減圧限界は時間的に非常に長いですが、30mでは数十分程度と短くなります。初心者の場合、インストラクターが確実にノンデコ範囲内でプランを組んでくれるので心配はいりません。ただし、水中で調子が良いからと予定を延長したり深追いするのは禁物です。決められた時間・深度を厳守し、ゆっくり安全停止を行って浮上する――これが安全ダイビングの鉄則です。

ノーフライタイムの考え方(帰国便前の計画)

ダイビング後は体内に残留した窒素が減少するまで一定時間、飛行機に乗ってはいけません。これをノーフライタイムと呼びます。減圧症予防のため、潜水後に高度の低い機内環境(約0.75気圧)へ行くのは危険だからです。一般的なガイドラインでは1日に1本程度の無減圧ダイブなら12時間以上、複数ダイブや連日潜った場合は最低18時間以上の間隔を空けることが推奨されています。

安全を見て24時間空けるダイバーも多いです。つまり、最終ダイブから半日~1日は飛行機に乗らない時間を確保する必要があります。帰国便が例えば日曜の昼なら、土曜午前のダイビングが最終にすべきで、土曜午後や日曜朝の潜水は避けなくてはなりません。旅行の日程を組む際はこのノーフライタイムに十分留意しましょう。

現地ではついギリギリまで潜りたくなりますが、飛行機搭乗前に時間が足りないと判断したら潔く潜水を諦める勇気も必要です。逆に、ダイビング後に飛行機へ乗る予定がなくとも、高所(山地など標高の高い場所)へ行く場合も同様に時間を空けた方が良いです。18~24時間というキーワードを覚え、旅程には余裕を持たせましょう。これは安全のみならず、潜り終えた後にゆっくり観光したり疲れを癒やす時間を設けるためにも有効です。

「120ルール」とは何か(歴史的背景と限界)/現代はコンピュータと最新テーブルが標準

ダイビングの計画手法として昔から語られる**「120ルール」というものがあります。これは「最大深度(フィート)と潜水時間(分)の合計を120以内に収めれば無減圧潜水の範囲内で安全に浮上できる」という経験則的な目安ですscuba.com。例えば60フィート(約18m)で60分潜れば合計120となり許容範囲、といった具合です。一見簡単で覚えやすい指標ですが、この120ルールは非常に大雑把なもので、実際の無減圧限界とは必ずしも一致しません。

深度や潜水プロフィールによって減圧不要限界は変化するため、厳密には120ルールは万能ではなく、あくまで旧式の簡易目安と考えるべきです。特に複数ダイブや繰り返し潜水では通用しない場合が多く、過信は禁物です。現代のダイビングでは、ほとんどのダイバーがダイブコンピュータを使用し、リアルタイムで残り無減圧時間を確認しながら潜っています。

コンピュータは深度や時間、潜水履歴に応じて正確に減圧不要限界を計算してくれるため、旧来のルールに頼る必要はありません。また、各指導団体が提供する最新の無減圧テーブルも利用できます。初心者の方はインストラクターの管理下で潜るので自分で複雑な計算をする必要はありませんが、「ゆっくり浮上」「無理な計画はしない」**という基本原則だけは心に留めておきましょう。120ルールに固執するより、最新の安全基準とツールを使うことが現代の潜水計画では常識となっています。

天候・流れ・視界が悪い日の判断

海は自然相手のスポーツですから、天候や海況によっては予定通り潜れないこともあります。風が強く波が高い日潮流が異常に速い場合、あるいは大雨で視界不良の時などは、無理せず中止やポイント変更の判断が必要です。経験豊富なオペレーターは常に最新の天気予報と海況情報をチェックし、安全に潜れないと判断すればツアー自体をキャンセルしたり、より穏やかな代替ポイントへ変更したりします。

初心者の方は「せっかく来たのに潜れないのは残念…」と思うかもしれませんが、安全第一の判断には従うようにしましょう。特にフィリピンでは海洋警察(コーストガード)が小型船舶の出航禁止を指示する場合があり、その際は全てのボートが運航を見合わせます。これはダイバーの命を守るための措置なので、納得して受け入れることが大切です。急なスコール程度であれば潜水そのものには大きく影響しないことも多いですが、雷を伴う嵐台風接近の際は絶対に出航しません。

また、前線通過後など透明度が極端に落ちている場合も初心者には不安材料となるため、その日の海況説明を聞いて不安があれば遠慮なくスタッフに相談しましょう。晴れていても前日の雨で川から濁り水が流入しているケースなどもあります。「安全に楽しく潜れるか」を最優先に、無理のない範囲で実施することが肝要です。勇気を持って中止することも良い判断だと心得てください。

保険(レジャーダイビング保険/海外旅行保険)と緊急対応

万一の事故や病気に備え、保険への加入も忘れずにしておきましょう。ダイビング向けには「レジャーダイビング保険」や「DAN(ダイバーズアラートネットワーク)の保険」など、減圧症治療の高額費用や救援搬送費用をカバーする専用保険があります。また一般的な海外旅行保険でもオプションでスクーバダイビング中の事故補償を付けられる場合があります。事前に保険内容を確認し、ダイビング中のケガ・死亡・後遺障害、緊急治療、救援者費用などが含まれるものに加入してください。

セブ島近郊では、緊急時にはセブ市内の高圧酸素治療設備(減圧症治療用のハイパーバリックチャンバー)に運ばれるケースが想定されます。必要があればボートや車での搬送手配、場合によってはヘリコプターでの緊急移送も検討されますが、こうした費用は莫大になることがあります。保険未加入だと全額自己負担となるため非常にリスクが高いです。さらに、現地のショップが万一に備えて酸素ボンベや救急キットを備えているのは前述の通りですが、事故時には自分や仲間が迅速に救助要請を行うことも重要です。

ショップのスタッフは緊急連絡先(海上保安当局や医療機関)を把握しており、状況に応じて適切に対処してくれます。ダイバー自身も保険証券や加入内容を携帯し、いざという時すぐ提示できるようにしておきましょう。安全対策をしっかり取った上で保険にも入っておけば、より安心してダイビングに臨めます。

初心者に最適なスポットの選び方(基準と比較)

判定基準(浅さ・流れ・エントリー・移動時間・混雑・海洋生物)

セブ島周辺で初心者向けのダイビングスポットを選ぶ際には、いくつかのポイント判定基準があります。まず水深が浅く穏やかなこと。初心者には水深5~15m程度までで、潮流も弱く、波も立ちにくい内湾やサンゴ礁エリアが適しています。次にエントリーのしやすさも重要です。ボートダイブの場合は港から近く移動時間が短いポイントだと船酔いの心配も減りますし、ビーチエントリーの場合は足場が安定していて波打ち際の波が小さい場所が望ましいです。

混雑具合も考慮ポイントです。有名スポットは観光客で賑わいますが、あまりに人やボートが多いと初心者は落ち着いて楽しめません。できれば平日や朝早い時間を狙う、もしくは少人数で潜れるショップを選ぶと良いでしょう。さらに移動時間も無視できません。マクタン島発着のポイントなら往復1時間以内が多いですが、遠方のモアルボアルやマラパスクアまで行くと日帰りは大変です。

旅行日程と照らして無理のない範囲で選びます。そして見られる海洋生物も大切な要素です。初心者にはカラフルな熱帯魚が間近に見られるサンゴ礁や、ウミガメとゆっくり泳げる癒し系のポイントが人気です。大物狙いのスリルあるポイントは魅力的ですが、深かったり流れが強かったりとハードルが高い場合も多いので最初は避けましょう。以上の観点から、「浅くて穏やか・アクセス良好・魚影が濃い」スポットを選ぶのが初心者に最適と言えます。

マクタン島エリア(ヒルトゥガン/ナルスアン/カオハガン など)

マクタン島周辺には初心者にうってつけのポイントが集まっています。代表的なのがヒルトゥガン島ナルスアン島です。ヒルトゥガン島はセブNo.1とも称される有名ポイントで、海洋保護区に指定され魚影が非常に濃いです。島周囲は遠浅のリーフになっており、浅いところではスズメダイやチョウチョウウオなどカラフルな小魚が群れ、水底が見えるほど透明度も抜群です。ドロップオフ沿いを少し降りればロウニンアジやバラクーダの群れにも遭遇でき、迫力ある光景が楽しめます。

一方のナルスアン島も同じく保護区で、長い桟橋が目印の小島です。こちらはエイ(ブルースポッテッドスティングレイなど)が見られるポイントとして有名で、浅瀬のテーブルサンゴに群れる無数のハナダイや熱帯魚たちも見応え十分です。ヒルトゥガン・ナルスアンへはマクタン島からボートで30~45分ほどで到着し、日帰り2ダイブコースでよく組み合わされます。さらにカオハガン島も穏やかな癒し系ポイントです。

白砂が美しい島で、周囲の海にはチンアナゴのコロニーやウミガメが見られるスポットもあります。このエリアは総じて流れが緩やかでエントリーも容易、ボートには日よけ屋根があり休憩も快適と初心者向けの条件が揃っています。マクタン発の体験ダイビングではまずこれらヒルトゥガン・ナルスアン周辺が第一候補になるでしょう。

モアルボアル(ハウスリーフ・Tongo ほか/サーディンランの注意点)

セブ島の南西に位置するモアルボアルは、欧米人を中心に人気の高いダイブエリアです。ここにはパナグサマビーチ沿いに広がるハウスリーフがあり、岸からすぐの浅瀬に無数のイワシ(サーディン)の大群が滞留しています。いわゆるサーディンラン(イワシ玉)を手軽に体験できることで有名で、水深5~10mほどの範囲で頭上を覆うようなイワシの大群が見られる光景は圧巻です。初心者でもシュノーケル感覚で楽しめますが、一方で注意点もあります。

イワシを追いかけて沖に出過ぎると急に深場に行ってしまったり、他のダイバーやシュノーケラーも多いので周囲に気を配る必要があります。インストラクターと一緒に、無理に深追いせず浅場で群れを見上げるように楽しむのがコツです。また、モアルボアルにはトンゴ(Tongo)ポイントなど穏やかで初心者向きのサイトも点在します。サンゴが綺麗でマクロ生物も豊富なため、生き物探しをゆっくり楽しめます。ウミガメ遭遇率も高く、リラックスして亀と泳げるのも魅力です。

モアルボアルのデメリットはセブ市街から車で約3時間と距離がある点です。日帰りは可能ですが移動が長いので、できれば1泊以上の旅程で余裕を持って訪れるのがおすすめです。なお、このエリアのショップは現地集合・1本ごと精算スタイルが多く、ガイドの手厚さは都会のショップほどではない場合もあります。初心者は信頼できるショップを事前予約し、しっかりサポートしてもらえる環境で潜ると良いでしょう。

マラパスクア(潮流・深度の観点から初心者向け注意点)

セブ島北端から沖合にあるマラパスクア島は、世界的に有名なニタリ(オナガザメ)との遭遇ポイントです。毎朝早朝にモンガラカワハギのクリーニングステーションとなる「モナドショール」にて高確率でニタリを見ることができます。その遭遇率は90%とも言われ、ニタリザメ目当てに世界中からダイバーが訪れます。しかしながら、肝心のモナドショールは水深約30mと深く、AOW以上の上級者向けポイントとなっています。初心者がいきなり挑戦するのは難しいでしょう。

マラパスクア島自体は美しい白砂のビーチがあり、のんびりした離島ステイが楽しめるため、ダイビングしなくても魅力があります。ただ、周辺のダイブポイントも総じて中~上級者向けが多い印象です。例えば沈船ポイントや洞窟ポイント(ガト島など)、流れのあるドリフトダイブなど、経験豊富なガイドのもとでもテクニカルな要素が求められるケースが少なくありません。初心者がマラパスクアで潜る場合は、浅場のサンゴ礁ポイントや砂地のマクロポイントに絞りましょう。

透明度の高い海で小さな生物を観察したり、ハナダイの群れる浅瀬で浮遊感を楽しむだけでも充分楽しめます。また、ボートエントリー時の波や流れがある場合もあるので、体験ダイビングならマンツーマンでしっかりサポートしてくれるショップを選ぶと安心です。マラパスクアへはセブ市内から車と船で合計4~5時間かかるため、長期滞在向きの場所と割り切って、初心者の方は焦らず穏やかな海で基礎を身につける場として捉えると良いでしょう。

オスロブ(主にスノーケル中心の位置づけと倫理面)

セブ島南部のオスロブは、野生のジンベエザメと出会えることで一大観光地となっています。朝方、海岸近くにジンベエザメが現れ、シュノーケリングや一部ダイビングでそれを見るプログラムが人気です。しかし実際には、オスロブでのジンベエザメはほぼ水面近くに留まるため、ダイビングよりもシュノーケリングの方が適しています。海底(水深10m程度)からでは遠く見上げる形になり迫力に欠けるため、シュノーケルで水面から観察する方が間近に感じられるのです。

そのため、多くのツアー会社もダイバーであってもシュノーケリング参加を勧めています。また、オスロブのジンベエザメは日常的に観光客向けに餌付けされており、これについて倫理的な議論がある点も知っておきましょう。専門家によれば、毎日餌を与えられることで本来回遊するはずのジンベエザメがその場に留まり、自然な生態行動が変化している可能性が指摘されています。さらに人間に依存し自力で餌を獲る能力が損なわれる恐れも懸念されています。

こうした背景から、「見る側のマナー」として触らない・追いかけない・フラッシュ撮影しない等のルール厳守はもちろん、参加そのものを疑問視する声もあります。参加を判断する際はこれらの情報も踏まえ、自分なりの結論を出すと良いでしょう。もし行く場合でも朝一番の混雑しない時間帯を選ぶ、人が少ない距離を保つなどジンベエザメへのストレスを減らす配慮を忘れないでください。なお、オスロブとセットで訪れることの多いスミロン島は透明度抜群の海が楽しめる離島です。こちらでのダイビングやシュノーケルは環境が良好で、初心者でも安心して楽しめます。総じてオスロブ周辺はジンベエ以外はシュノーケリング中心のスポットですが、うまく組み合わせて計画すれば有意義な体験となるでしょう。

カモテス/その他近郊(海況が悪い時の代替候補)

万一、セブ本島周辺の海況が悪い場合や、主要スポットが予約で埋まっている場合には、カモテス諸島など他の近郊エリアも選択肢に入ります。カモテス諸島はセブ島東方にある小さな島々で、観光客は少なめですが手つかずのサンゴと透明度の高い海が魅力です。ボートチャーターが必要になるため若干手間はかかりますが、その分混雑がなくプライベート感のあるダイビングが可能です。海況によってはセブ本島西側(モアルボアル方面)が波浪の影響を受ける時でも、東側のカモテスは比較的穏やかな場合もあります。

また、セブ本島北西部のバンタヤン島や南西部のリロアン近海なども、ダイビングマップにはあまり載らない穴場的スポットです。リロアンからはボートでアポ島(隣のネグロス島沖)まで遠征でき、大物の群れに遭遇できるチャンスもあります。ただし、こうした代替候補地はアクセスや設備面で上級者向きの場合もあるため、初心者が利用する際は信頼できるショップに相談して手配してもらうのが良いでしょう。基本的にはセブ島周辺のメジャーポイントで事足りることが多いですが、天候不良時や繁忙期で混雑している際のバックアッププランとして頭に入れておくと安心です。「どうしても潜りたい!」日に備えて、代替候補地の情報も少し調べておくと旅程変更時に役立ちます。

初心者ベスト3の提案(特長・所要・誰に向く)

数あるスポットの中から、特に初心者におすすめしたいベスト3を挙げるとすれば次のようになります。

  • 第1位:ヒルトゥガン島(マクタン島発)

    特徴:
    魚影の濃さは随一で、浅瀬で熱帯魚の群れに囲まれる感動を味わえます。ドロップオフ沿いでは大型回遊魚も見られ、初心者ながら水族館のような景色に出会えるでしょう。
    所要: マクタンのショップ集合~ボートで約30-40分。半日2ダイブコースで訪問可能。
    誰に向く: 体験ダイビング初挑戦の方、短い滞在で効率よくベストスポットを楽しみたい方に。日本人スタッフ在籍ショップが多いので語学不安な方にも最適

  • 第2位:ナルスアン島(マクタン島発)

    特徴:
    絵画のように美しいサンゴ礁とクリアブルーの海が魅力。エイやカラフルな小魚の群れなど見どころ満載で、長い桟橋風景もフォトジェニックです。隣接の海上レストランで休憩も楽しめます。
    所要: マクタンからボート約45分。ヒルトゥガン島と組み合わせることも多く、一日ゆったり2スポット巡れます。
    誰に向く: のんびりペースで癒やしの海を満喫したい初心者に。泳ぎが得意でなくてもインストラクターがしっかりサポートしてくれるポイントです。

  • 第3位:パナグサマビーチ(モアルボアル)

    特徴:
    ビーチからエントリーしてすぐ、イワシの大群やウミガメに出会える世界的にも稀有なスポット。浅瀬で太陽光にキラキラ輝くイワシ玉は感動必至です。
    所要: セブ市内から車で約3時間(宿泊推奨)。ビーチからエントリーし、1本40分程度のダイブ。陸上休憩を挟んで複数回潜れます。
    誰に向く: ある程度泳ぎに慣れた方や、長めの旅程で余裕のある旅行者に。バックパッカー的な雰囲気も楽しめるので、海も旅もエンジョイしたい人向きです。

以上の3つは甲乙つけ難いですが、短期旅行ならマクタン周辺、余裕があればモアルボアルもぜひ候補に入れてみてください。それぞれ特色が違うので、自身の興味や旅程に合わせて選ぶと良いでしょう。

「どのビーチが最適?」ビーチエントリー視点で理解する

セブでのビーチ vs ボートエントリーの実情

日本の離島などではビーチエントリーが主流の所もありますが、セブでのダイビングはボートエントリーが一般的です。マクタン島では多くのダイブショップが専用ボートを持ち、沖合いのポイントまで船で移動して潜るスタイルを採用しています。これは、優れたダイビングポイントの多くが陸から離れた場所に位置しているためです。一方で「ビーチから直接エントリーできる場所はないの?」という疑問もあるでしょう。

実はまったく無いわけではなく、マクタン島の一部高級リゾート(シャングリラやプランテーションベイなど)にはプライベート感覚で潜れるハウスリーフが存在します。これらはリゾート前の海洋保護区となっており、ビーチ(または桟橋)から入ってそのままダイビング可能です。ただし利用は基本的に当該リゾートのゲストや提携ショップに限られ、エントリーポイントも限定的です。また、一般的にセブの白砂ビーチは遠浅で遊泳向きであっても、ダイビングとなるとすぐには深度が取れず、砂地ばかりで生物も少ないケースがあります。

従って、ビーチが綺麗=ダイビング好適地とは限りません。ボートエントリーの利点は、短時間で最適な水深と環境を持つポイントにアクセスできることです。広々としたバンカーボート(アウトリガー付きの船)で移動でき、トイレや日除けも備わっているため快適です。逆にビーチエントリーは移動の手間は省けますが、機材を背負って歩く負担があったり、シャワー設備がない場所も多いです。セブではボートダイブが主流と理解しつつ、ハウスリーフが使える場合はそれを活かす、といった柔軟な視点でプランを立てましょう。

モアルボアルの浜と桟橋エントリーの違い

モアルボアルのパナグサマビーチでは、ビーチエントリーと桟橋(ジェッティ)エントリーの両方が体験できます。パナグサマ周辺は砂浜というより、小石混じりのエントリーポイントが多く、直接海に歩いて入るビーチエントリーの場合はブーツを履いて足元に注意しながら入水します。すぐ沖はドロップオフになっているため、浅場でフィンを履き、浮きながら沖へ移動できるのでそれほど苦労はありません。

桟橋エントリーの場合、岸から突き出た桟橋の先端から海に直接飛び込む(ジャイアントストライドエントリー)か、ハシゴで静かに降りる形になります。こちらは浅瀬を歩かなくて良い分楽ですが、高所が怖い人は少し緊張するかもしれません。どちらにせよ、モアルボアルでは波も小さく流れも弱いので、ビーチからの直接エントリーでも比較的容易です。ただ、ポイントによっては満潮・干潮で浅すぎて珊瑚を傷つけないよう細心の注意が必要な場合もあります。なお、モアルボアルには数km北に**ホワイトビーチ(Basdaku)

と呼ばれる白砂の海水浴ビーチもありますが、こちらは遊泳向きでダイビングスポットは沖合まで出ないと乏しいです。ダイビングに適した場所は概して岩場やドロップオフ沿いであることを覚えておきましょう。ビーチリゾートとしてのイメージで場所を選ぶと「綺麗な砂浜なのに魚がいない…」ということも起こり得ます。モアルボアルでは利便性重視なら桟橋エントリー、マイペースに潜りたいならビーチエントリーと、各ショップのスタイルや自分の好みで選ぶと良いでしょう。

マクタンのホテル前ハウスリーフの可否

マクタン島には有名リゾートホテルが点在し、それぞれにプライベートビーチがあります。中にはハウスリーフと称してホテル目の前の海でダイビングできる所もあります。例えばシャングリラ・マクタンの沖は「シャングリラ・マリンサンクチュアリ」として保護区化され、ショップ「スコッティーズ」が管理するビーチ/ボートダイブポイントになっています。ここではビーチからエントリーしてすぐにサンゴ礁が広がり、無数の魚に餌付けがされているため初心者でも手軽に魚群に囲まれる体験ができます。

また、かつてレジャー施設タンブリがあった沖合には沈められたセスナ機があり、こちらも浅場からアクセス可能なミニ沈船ポイントとして知られています(現在も潜れるかは要確認)。一方で、全てのホテルにハウスリーフがあるわけではありません。多くのリゾートのビーチは囲いがあって遊泳区域が決まっており、ダイビングはボートで沖に出る必要があります。また、ハウスリーフが潜れたとしても魚種や地形が単調で1回見れば十分というケースもあります。

旅行者目線では「ホテルから直接潜れたら楽なのに」と思いますが、現地のダイブショップは様々なポイントに連れて行ってくれるので、敢えてハウスリーフにこだわる必要はないでしょう。白砂の遊泳向けビーチとダイビング適性は別物だと考え、泊まるホテルのビーチはリラックス用、潜る海はボートでベストポイントへ――と割り切った方が満足度は高くなるはずです。

白砂の遊泳向けビーチとダイビング適性は別物という考え方

観光パンフレットなどで見る真っ白な砂浜とエメラルドの海は本当に魅力的ですが、そのような「南国ビーチ」とダイビングに最適な環境は必ずしも一致しません。白砂が広がる浅瀬はたしかに美しい反面、サンゴや岩礁が少なく魚の住処が乏しいため、ダイバー目線では見どころが限られる場合があります。また、砂地はフィンキックで砂が舞いやすく視界不良の原因にもなります。

逆に、ダイビングスポットとして素晴らしい所は、陸から見ると岩だらけで泳ぐには不向きな海岸だったりします。これはつまり**「遊泳に適したビーチ=ダイビングに適した海域ではない」ということです。もちろん例外的にどちらも優れた場所もありますが、特にセブ島周辺ではその傾向が顕著です。ですから、旅行の目的が「綺麗なビーチでのんびり」と「ダイビング」両方ある場合は、それぞれ最適な場所を別々に求める**方が賢明です。

日中ダイビングした後はホテルのプールやビーチでのんびり、あるいはアイランドホッピングで無人島の砂洲に上陸して写真撮影、といった具合にシチュエーションを分けて楽しみましょう。一箇所で全部を叶えようとすると中途半端になりがちです。セブには「見るビーチ」「潜る海」「遊ぶ海」がそれぞれあります。ぜひ目的に合わせて視点を変え、本当に満足できる場所を選んでください。結果的にその方が南国リゾートの醍醐味を二倍にも三倍にも味わえるはずです。

料金の考え方と「どこが安い?」の見つけ方

コスト構造(移動/ボート/器材/ガイド/環境税・港税/写真)

セブ島でダイビングに参加する際の料金は、いくつかの要素で構成されています。まず移動費。ホテルからショップや港までの送迎が含まれる場合と有料オプションの場合があります。次にボート乗船料。貸切ボートなのか相乗りなのか、またボートの大きさによってもコストは変わります。一般に相乗りの大きなバンカーボートは費用を人数で割れるため割安です。

続いて器材レンタル代。マスク・フィン・BCD・レギュレーター・ウェットスーツなどフルレンタルすると1日あたり数百~千ペソ程度掛かりますが、体験ダイビングの場合は料金に器材一式レンタルが含まれることがほとんどです。ガイド料(インストラクター料)も料金に含まれます。プライベートガイドだと割高、グループツアーでまとめて見る場合は一人あたり割安になる傾向です。さらに、ダイビングポイントによっては環境保護税や入海料がかかります。例えばヒルトゥガンやナルスアンは保護区入域料が1日数百ペソ程度設定されており、これを各自負担することがあります(料金込みの場合も)。

港を利用する場合は港湾使用料が数十ペソ発生するケースもあります。最後に写真・動画サービス。オプションで水中写真を撮ってくれるプランでは、その撮影料やデータ代が別途請求されることがあります。スマホへの転送サービス込みの場合もありますが、プロカメラマン同行プランだと有料です。以上のように、ダイビング料金は「基本パッケージ+各種オプションと税金」で構成されています。パッケージ内容をよく確認し、何が含まれて何が別料金なのか把握しておくことが大切です。明朗会計のショップなら事前に全部説明してくれるので、不明点は予約時に確認しましょう。

エリア別の傾向(マクタンが安くなりやすい理由/モアルボアルの相場観/マラパスクアが高めな要因)

セブのダイビング費用はエリアによって若干異なる傾向があります。一般にマクタン島発着のツアーは割安になりやすいです。その理由は、空港や市街地に近く競合するダイブショップが多いこと、ボート移動時間が短く燃料コストが低めなことなどが挙げられます。多数のショップが体験ダイビング客を取り合っているため、価格競争が働き比較的手頃な料金設定になっているのです。例えば2ダイブ・器材込・送迎込で日本円にして1万円前後(約4000~5000ペソ)というプランも見つかります。一方、モアルボアルはどうでしょうか。

モアルボアルのショップは欧米系バックパッカー向けが多く、1本いくらの単発料金制を採用している所が多いです。相場は1ダイブあたり1500ペソ前後(器材別)で、まとめて複数本潜ると多少ディスカウントがある程度です。ただし、セブ市内からの交通費や宿泊費を考慮すると、トータルではマクタン日帰りより高くつくケースも。モアルボアルは現地集合なら安く楽しめますが、車チャーター往復(数千ペソ)を含むと割高になる、という点に注意です。マラパスクアはさらに費用がかさむ傾向があります。島までの送迎が長距離になりコスト増、島内は発電事情などで物価がやや高め、また目玉のニタリ早朝ダイブはディープダイブとなり追加料金が設定されていたりします。

マンツーマン指導やプライベートボートになると更に料金は上がります。宿泊も込みで考える必要があり、総じて「マラパスクアは旅行全体として高め」と感じる方が多いでしょう。オスロブ方面のツアーは車チャーター代とオスロブのジンベエ鑑賞料金(シュノーケル代)が乗るため、1日ツアーで1.5万~2万円(7000~10000ペソ)近くになることもあります。こうした違いから、最も手軽で安いのはマクタン島周辺、しっかり潜るダイビング旅行ならモアルボアル、特別な目的(大物狙い)はマラパスクアやオスロブだが費用増、という構図になります。予算に応じて行き先を選ぶのも一つの方法でしょう。

予算別モデル(低・標準・プレミアム)と含まれやすい内容

ダイビングの予算感について、ざっくり低・中・高の3モデルで考えてみます。まず低予算モデル。とにかく費用を抑えたい場合、マクタン島発の格安ツアーに参加するのが現実的です。これは往復送迎を自力でタクシー利用にしたり、現地の混載ボートに乗せてもらう形で、2ダイブ器材込で3000~3500ペソ(約8000円弱)程度も可能です。ただこの場合、ガイド一人に対し参加者が多めの団体になることもあり、写真撮影などサービス簡素なことも。また昼食が付かず、自分で用意する必要があるかもしれません。

標準モデルは、多くの旅行者が利用する日系または現地有名ショップのパッケージです。送迎・器材・ガイド・ボート・ランチ・ドリンクなど基本的なものは全て含まれ、2ダイブで4500~6000ペソ(1~1.5万円)程度が相場でしょう。このクラスだと水中写真を無料で数枚撮ってプレゼントしてくれるサービスがあったり、少人数制で手厚く見てもらえたりします。安心感と満足度のバランスが良いプランです。最後にプレミアムモデル。こちらはプライベートツアーや高級リゾート併設のショップ利用など、特別感を重視したものです。

貸切送迎車・専属インストラクター・ゆったりスケジュール・高品質ランチやドリンク付き、といった至れり尽くせりの内容になり、料金は2ダイブで10000ペソ(約2.5万円)以上になることもあります。英語が苦手な方向けに通訳ガイドを追加したり、GoProレンタル込みなどオプション豊富なケースも。この価格帯になると、ほぼマンツーマンで自分のペースで潜れるため、極上の初ダイビング体験を求める方に向いています。以上、低予算=グループ簡素サービス、中予算=平均的満足、プレミアム=プライベート贅沢と理解して、旅の目的や懐具合に合わせたプランを選ぶと良いでしょう。

隠れコストの洗い出し(写真データ・チップ・追加ボートフィー・ランチ有無)

見かけの料金だけで判断すると、後から思わぬ出費が発生する場合があります。そんな隠れコストに注意しましょう。まず写真データ代。最近はほとんどのショップが体験ダイビング参加者向けに水中写真・動画を撮ってくれますが、そのデータ提供が無料か有料かはまちまちです。事前に「写真代込みか?」を確認し、有料ならいくらか調べておきましょう(相場は500~1500ペソ程度)。次にチップ。フィリピンでは基本的にチップ文化ではありませんが、ダイビングに関しては外国人客も多いため、ボートクルーやガイドにチップを渡す習慣が一部あります。

強制ではありませんが、お世話になったら気持ち程度に100~200ペソを手渡しすると喜ばれるでしょう。これを忘れていると予算オーバーになることも。追加ボートフィーも要チェックです。例えば遠方ポイントに行く場合や、参加者が少人数で貸切に近い場合、「燃料代として1人○○ペソ追加」というケースがあります。事前説明になくても当日提示されることもあるため、不明点は先に質問するのが吉です。また、ランチや飲み物が含まれているか否かも重要です。長時間のツアーで食事別だと、自分で手配する必要がありこれも費用になります。

一般的にマクタン発の半日体験ダイビングは昼食なしで午前中に終了、1日ツアーはランチ付きが多いです。飲料水は大抵の船に積んでありますが、スポーツドリンクやおやつは自分で用意すると安心でしょう。その他、クレジットカード払い時の手数料(3-5%上乗せする店も)や、器材破損時の賠償も万一の出費です。レンタル器材は丁寧に扱いましょう。こうした隠れコストを洗い出し、事前に見積もっておけば「思ったよりお金が足りない!」という事態を防げます。明朗会計のショップを選ぶのが一番ですが、参加者側もリテラシーを持って賢く臨みたいですね。

初心者の「最初の1本」を成功させるモデルコース

日帰り1日モデル(講習→2ダイブ→ホテル帰着)

時間が限られている旅行者向けには、セブ島発着の日帰り体験ダイビングコースが最適です。モデルスケジュールを紹介しましょう。例えば宿泊がマクタン島内またはセブ市街の場合、朝8時頃にホテルでピックアップ。ショップに移動して受付とインストラクター紹介、9時前後から簡単な講習(ブリーフィングと浅場練習)を行います。9時半頃ボートで出航し、ポイントまで20~30分。1本目のダイビングを約30~40分楽しみます。

船上で休憩し、必要に応じて水分補給や軽食(フルーツやお菓子)を摂ります。10時半~11時頃に2本目のダイビングへ。1本目より少しリラックスして水中を満喫できるでしょう。正午前には全てのダイブが終了し、ボートで港へ戻ります。12時半頃ショップ帰着、ログ付け(潜水時間や見た魚を記録)や器材片付けを済ませます。13時頃にはホテルへ送迎され、14時前後には帰着となります。午後は自由に観光や休息が可能です。このように半日強で2ダイブが完結するので、旅行中の1日を使って気軽にダイビング体験ができます。

朝が苦手な場合は午後発プラン(13時集合→夕方解散で1ダイブまたは2ダイブ)もあります。ただし午後プランは日没時間の関係で1本になることも多いので、やはり午前発がおすすめです。日帰りコースであれば翌日に飛行機に乗る場合でも18時間以上開けやすく(午前終了なので翌朝のフライトも安全圏)、旅程に組み込みやすい利点があります。初日の1本目から楽しめるよう、無理なく午前中に2本潜って午後はのんびりというのが成功のコツです。

2~3日モデル(学科+限定水域→海洋実習→観光)

もし旅行日程に余裕があり、「どうせならライセンスを取りたい!」という場合は2~3日かけて講習を行うモデルもあります。PADIオープンウォーター(OWD)講習は本来3日以上推奨ですが、事前学科学習やeラーニングを活用し、現地2日で取得する集中コースも存在します。モデルプランとして、1日目は学科講習とプールまたは浅場での限定水域実習をこなし、2日目に海洋実習で計4本のダイビングを行ってテストに合格すればOWD認定…という流れです。例えば金曜夜にセブ到着、土曜と日曜で講習、月曜帰国といった強行プランも可能ではあります。

ただ初心者にはややハードですので、もう1日足して3日間で余裕を持つのが理想です。学科と限定水域を1.5日、海洋実習2日+予備日というスケジュールなら、途中で観光や休養を挟むこともできます。セブ島近郊なら講習日程中にアイランドホッピングを組み込んだり、ジンベエツアーに参加することも不可能ではありません(ただし詰め込み過ぎは禁物)。2~3日モデルの利点は、確実にスキルを身につけられることと、Cカード取得という成果が残ることです。今後もダイビングを続けたいと思ったら、旅行中にそのまま講習までやってしまうのも手です。

日本語インストラクターがいるショップなら言葉の壁もありません。なお、講習の場合も最終ダイブ後は飛行機搭乗まで18時間以上開ける必要があります。旅程最終日に学科講習(座学テスト)を回して、その後飛行機で帰国するという計画も一案です。2~3日でじっくり段階を踏むモデルは、慌ただしい日帰りより深い学びと達成感を味わえるでしょう。

4~5日モデル(取得+ファンダイブ+アイランドホッピング)

さらに長めの休暇が取れるなら、4~5日間でセブを満喫するプランがおすすめです。例えば5日間滞在の場合、前半2~3日でOWDライセンスを取得し、残りの日でファンダイビングやアイランドツアーを楽しむという贅沢なモデルがあります。具体例として、1~2日目で学科とプール実習、3日目に海洋実習(無事Cカード取得)、4日目は認定ダイバーとしてモアルボアル遠征でサーディンランを体験、5日目はアイランドホッピングで離島巡りとシュノーケリング…といった流れです。

こうすればライセンスも取れて、いきなりファンダイビングデビューも経験でき、観光要素も取り入れられるという盛りだくさんの旅になります。マラパスクア島で数日ゆったり過ごしながら講習&ファンダイブするのも良いですし、ボホール島やカモテス諸島まで足を伸ばすプランも可能です。4~5日あれば天候不良の予備日も確保しやすく、かなり柔軟に動けます。もちろん全日ダイビング漬けにするのではなく、途中で休息日を設けてスパや買い物、遺跡観光(マゼランクロスや教会巡り)を挟むと疲れも取れてメリハリが付きます。

長期モデルでは「潜る日」と「観光日」を分けるのがポイントです。なお、複数日に渡り潜った場合、最終日から帰国フライトまではノーフライタイムとして24時間近く空けるのが望ましいので、帰国前日は潜らずに市内観光やお土産購入日に当てると良いでしょう。5日以上の旅程がある方は、ぜひセブのダイビングと観光を贅沢に両立させたプランニングで、思い出深い旅行にしてください。

出発/帰着の時間帯パターンと渋滞回避のコツ

セブ旅行のスケジュール設計では、航空便の発着時間や現地の交通事情も考慮に入れる必要があります。日本-セブ直行便は深夜早朝着や午後着が多いですが、もし早朝にセブ到着する便であれば、その日はゆっくり休んで翌日からダイビング開始が無難です(長旅の疲れを取るため)。夜遅く到着の場合も、翌朝に無理なく起きられるよう初日は移動のみとしておきます。ダイビング当日は朝8時頃にホテル出発が一般的なので、前泊地は渋滞の少ないマクタン島内だと移動がスムーズです。

セブシティ内からマクタン島のショップへ向かう場合、通勤時間帯は橋の渋滞が酷いため、朝7時台には出発するなど調整しましょう。帰りも夕方のラッシュを避けるため、午後早めに解散できるプランを選ぶと良いです。渋滞回避のコツとして、早朝出発・午後早帰りを心がける、ホテルは送迎エリア内にとる、などがあります。特にゴールデンウィークや年末年始など繁忙期は道も混み合うので注意です。なお、帰国便の日程では前述のように潜水禁止時間を守るため、帰国前日は潜らないのが原則です。

例えば帰国便が朝8時発だと前日の前昼までには潜水終了が条件となります。飛行機出発当日は空港までの移動に余裕を持ち、ホテルチェックアウト~空港までの送迎も渋滞を見越して計画しましょう。マクタン島内のホテルなら空港まで通常30分ですが、ピーク時は倍近くかかることも。早朝便なら渋滞は少ないですが、午後便の場合は昼過ぎに空港へ向かう途中が混雑する可能性があります。「時間帯」と「場所」の要素を考慮し、渋滞に左右されないスケジュールを組むことが、ストレスなく旅を終えるコツです。

スケジュール設計とフライト計画

到着日・ダイビング日・帰国前日の組み方

セブでのダイビング旅程を考える際、到着日から帰国日までの流れをうまく組み立てることが重要です。理想的なのは、到着日の翌日から潜り始め、帰国日の前日には潜水を終了するパターンです。例えば金曜夜にセブ着、土日でダイビング、月曜観光して火曜帰国という4日間なら、間にノーフライタイムも確保でき安全です。到着日当日に無理に潜ろうとするのは避けましょう。長時間のフライトで疲労していますし、器材合わせやブリーフィングをじっくりする時間が取れません。

どうしても日数が足りない場合でも、到着日は移動と休養に充て、翌日早朝からにすることをおすすめします。帰国前日は前述の通り、原則潜らないか、潜っても午前中の浅い1ダイブ程度に留める方が無難です。フライトが遅延するリスクも考えると、帰国当日の前夜にダイビングを終えておけば安心感があります。なお、中日が複数ある場合は、一日おきにダイビングと観光を交互に入れると体力的にも楽です。

例:1日目到着休息、2日目ダイブ、3日目観光、4日目ダイブ、5日目帰国準備と休息…など。逆に短期で毎日潜る場合は、前述のノーフライルールを破らないよう帰国日の24時間前にラストダイブを完了する逆算が必要です。日程にゆとりがない場合こそ計画的に、無理をしないスケジュールを組むよう心がけましょう。移動日・潜水日・予備日をバランスよく配置することが、トラブル回避と充実した旅の秘訣です。

ノーフライタイム18~24時間を守る旅程例

具体的に、ダイビング後のノーフライタイムを確保したモデル旅程を示します。例えば3泊4日(金曜夜発~月曜帰国)のケース:金曜夜にセブ到着→ホテル泊、土曜午前・午後で2ダイブ実施、日曜午前中に1~2ダイブ実施(※この日が最終ダイブ)、日曜午後~夜は市内観光などを楽しみ、月曜昼のフライトで帰国。この場合、日曜正午に潜水終了として月曜正午発の便で約24時間空けています。仮に月曜朝便であっても、日曜朝9時までに潜水終了なら18時間以上取れます。もし潜水日が1日のみなら、翌日のフライトにしてもなるべく12~18時間は空けます(午前10時に終了したら夜の便に乗る、など)。繁忙期には予約の都合上、旅程最終日に潜ってしまう人もいますが、減圧症リスクを考えると絶対に避けましょう。

少なくとも帰国前日は潜らない日として計画することが望ましいです。長期滞在では丸一日以上空けることも容易ですから、例えば1週間滞在で最後の2日は観光に充てるくらいの気持ちでスケジュールを組んでください。DAN(Divers Alert Network)のガイドラインでも繰り返し潜水後の飛行機搭乗は最低18時間、推奨24時間とされています。万が一日程変更などでギリギリになってしまった場合は、思い切って最終日のダイビングをキャンセルする勇気も必要です。ノーフライタイム18~24hの確保は自分の身を守る基本ルールと捉え、計画段階から組み込んでおきましょう。

繁忙期(GW/お盆/年末年始)の予約と混雑対策

ゴールデンウィークやお盆、年末年始といった連休シーズンは、セブ島も日本人旅行者を含め世界中から観光客が押し寄せます。この時期にダイビングを計画するなら、予約はできるだけ早めに行いましょう。少なくとも出発日の2~3ヶ月前、可能なら半年近く前から問い合わせておくと安心です。人気ショップや日本語ガイドがいる店は特にすぐ埋まります。混雑対策として、希望日程が埋まってしまった場合でも平日にずらす、時間帯をずらすなど柔軟に調整を。

例えばGW中でも5月1-2日など平日は比較的空きがあることが多いです。また、一番混むのは各ショップの集合時間帯なので、極端に言えばプライベートツアーで早朝6時出発などにすれば貸切状態で潜れるケースもあります。費用は上がりますが快適さを買うと思えば検討の余地ありです。ボート上や海中も人が多いとストレスになるので、可能なら少人数制のショップを選ぶことも有効です。さらに、繁忙期はホテルや交通も混雑するため、宿と送迎車もセットで確保しておくと移動がスムーズです。渋滞が普段以上に悪化することを見越し、スケジュールには余裕を持たせてください。

例えば年末年始のショップ予約はクリスマス前には満席になることも珍しくありません。お盆も現地スタッフが帰省で人手不足になるケースがあり、その意味でも早めの連絡が大事です。**「ピーク時ほど早期準備・余裕行動」**を心掛け、混雑を逆手に取って良い体験につなげましょう。なお、ピークシーズン料金で割増になることもあるので、予算面の余裕もお忘れなく。

悪天候予備日の確保と代替プラン(島観光・スパ・シティツアー)

長めの旅程を組めるなら、ぜひ悪天候時の予備日を1日は用意しましょう。天候不良や体調不良でダイビングが中止・延期になっても、予備日があれば振替が可能です。予備日にはダイビングを入れず、他のアクティビティを計画しておくと良いでしょう。例えば、海に潜れない場合には陸の観光に切り替えます。セブ島内なら歴史スポット巡り(サンペドロ要塞、マゼランクロス、サントニーニョ教会など)や、ちょっと足を伸ばしてバディアンのカワサン滝での川遊び・キャニオニングも人気です。

あるいはマクタン島に多数あるスパやマッサージで身体を癒やすのも贅沢な過ごし方です。特にダイバー向けのマッサージメニュー(筋肉疲労を取るオイルマッサージなど)を用意しているホテルスパもあります。また、ショッピングモール巡りや、おしゃれなカフェでのんびり過ごすのも良いでしょう。シティツアーでは高台にある「トップス展望台」から市街地の夜景を見たり、アイランドスーベニアでお土産Tシャツを買ったりといった定番コースがあります。

悪天候予備日が不要だった場合でも、これらのプランは旅の充実度を上げてくれます。反対に予備日が無いと、せっかく行ったのに潜れずじまい…という悲劇も起こりえます。特に雨季シーズンや台風シーズンに行く場合は、1日はダイビング無しの日を組み込みましょう。「Plan B」を持っておくことは旅行全般において重要ですが、ダイビング旅でも同様です。柔軟な予定で、天候に左右されずセブ滞在を満喫できるよう準備しておきましょう。

予約から当日までのチェックリスト

ショップ選びの基準(資格・保険・装備・人数比・日本語対応・評判)

安全で楽しいダイビングのためには、どのショップ(サービス)を利用するかが非常に重要です。初心者がショップ選びで見るべき基準を挙げます。まずスタッフの資格です。PADIやNAUIなど主要指導団体のインストラクター資格を持つガイドが所属しているか確認しましょう。経験豊富なインストラクターほど対応が的確で安心できます。次に保険加入状況。ショップとして賠償責任保険やお客様傷害保険に入っているところは、万一の際の対応も整っていると言えます。また器材の品質とメンテナンスも大事です。

レンタル器材が清潔で手入れされているか、ボートに酸素キットや救急箱が備えられているか等、安全管理意識の高さが伺えます。さらにインストラクター1名あたりの案内人数もチェックポイントです。体験ダイビングなら1人のインストラクターが最大でも2~3人程度までに制限しているショップが望ましいです。大勢を一度に見るところは注意が散漫になりがちです。言語面では日本語対応の可否も初心者には重要でしょう。日本語で質問や相談ができれば、不安や疑問を解消しやすいです。口コミや評判も参考になります。過去に利用した人のレビューで高評価か、SNSやブログで好意的に紹介されているか調べてみましょう。

ただしあまりに絶賛ばかりの場合は広告の可能性もあるので複数情報源を確認してください。最後に料金の透明性。公式サイトや問い合わせで料金内訳を明確に教えてくれるところは信頼度が高いです。これらの基準を総合的に判断し、初心者へのケアが手厚く安全管理が徹底しているショップを選びましょう。多少料金が高くても、安心料だと思えば安いものです。「変だな」と感じる点があれば遠慮なく別のショップも検討してください。納得のいくサービスを提供してくれる相性の良いショップに出会えれば、きっと最高の初ダイビング体験となるでしょう。

予約時に確認すべきこと(料金に含まれるもの・追加費用・支払い方法)

ショップを決めたら、具体的な予約時の確認事項を整理しましょう。まず提示料金に何が含まれているかを明確にすること。前述のコスト構造の項でも触れましたが、送迎・レンタル器材・ガイド料・ボート代・ランチ・ドリンク・税金・写真データなど、どこまでがコミコミなのかを質問しておきます。逆に追加で発生しうる費用も確認必須です。環境保護費や港使用料、遠方ポイント希望時の追加料金、写真や動画撮影料金、チップの習慣なども聞いておくと良いでしょう。

特に写真データ代は記憶に残る部分なので有料なら金額を把握し、必要なら現地通貨を用意しておきます。またキャンセルポリシーも重要です。何日前までキャンセル無料か、天候不良時の扱い(全額返金か日程変更か)など、条件を書面やメールで送ってもらうと安心です。支払い方法も要チェックです。多くのショップは現地で現金払い(フィリピンペソ)が基本ですが、日本円やクレジットカード、オンライン決済(PayPal等)が使える場合もあります。クレジットカード可の場合でも手数料が加算されることがあるので確認します。

最近はフィリピンの送金アプリ(GCashなど)は旅行者にはハードルが高いので、現金かカードが主でしょう。日本出発前に銀行振込や日本円支払いでデポジットを要求されるケースもありますが、その場合のレートや手数料も含め納得してから行いましょう。予約時に聞きにくいことほど事前確認が肝心です。特に料金面の認識違いはトラブルになりやすいため、きちんと双方合意を取っておくべきです。メールで問い合わせをすれば証跡も残りますし、ショップ側の誠実さも見えてくるでしょう。細かいようですが初めての海外ダイブですから、疑問点は遠慮せず全てクリアにして、すっきりした気持ちで当日を迎えてください。

前日までの連絡方法(集合場所・時間・服装)

予約が完了したら、当日スムーズに合流できるよう最終確認の連絡を取りましょう。大抵のショップは前日までに集合時間と場所、連絡先などをメールやWhatsAppなどで案内してくれます。もし前夜までに連絡がなければ、こちらから確認しておくと安心です。集合場所はホテルロビーなのか、ショップに直接行くのか明確にしましょう。ホテルピックアップの場合はホテル名と部屋番号を伝え、〇時にロビーで待ち合わせなど指示があります。

ショップ集合なら地図やタクシー運転手向けの説明をもらっておきます。集合時間も重要です。送迎ありの場合は「7:30~7:45の間に迎えに行きます」と幅を持たせて伝えられることもあります。時間通り来ない時のため、連絡先電話番号も控えておきましょう。服装・持ち物も前日までに準備します。水着はホテルから着用していくか、現地で更衣スペースがあるか確認します。基本的に水着着用+上からラッシュガードやTシャツ短パンという軽装で向かうのが一般的です。女性はワンピース水着よりセパレートかラッシュガード付きの方が動きやすいでしょう。

日焼け対策として帽子やサングラスも持参します。足元は濡れても良いビーチサンダルが便利です。タオルもショップで貸してくれる所もありますが、自分で持参が無難です。ソフトコンタクトの人は替えを、酔いやすい人は酔い止めを事前に飲んでおきます。前日のうちに必要品をリュック等にまとめ、朝慌てないようにしましょう。当日の天気予報もチェックし、海況悪そうならショップに実施有無を問い合わせてもOKです。前夜は深酒を避け早めに就寝し、翌日に備えます。最後に、予約確認メールやバウチャーはプリントアウトかスマホ画面ですぐ提示できるよう準備しておきましょう。当日トラブルなく集合できるかは前日までの準備にかかっています。抜かりなく進めてください。

当日の持ち物リスト(必携/あると便利)と盗難・紛失対策

いよいよ体験ダイビング当日、持って行くべきものをリストで確認しましょう。まず必携品から。

  • 水着(事前に着用推奨)

  • 着替え一式(下着含む)

  • バスタオル(大判と予備のスポーツタオルがあると尚良し)

  • ビーチサンダル(濡れても良い履物)

  • 日焼け止め(環境対応品ならベター)・帽子サングラス

  • 現金(フィリピンペソ、小額紙幣も。チップ用に20~100ペソ札など)

  • スマホ(ショップ連絡先登録済み)+防水ケース(船上で濡れるため)

  • 酔い止め薬(飲んできた上で予備も)

  • 健康保険証や保険証券のコピー(万一のため)

  • 身分証明書(パスポートのコピーなど)

続いてあると便利なもの

  • 防水バッグまたはジップロック(濡れた水着や電子機器保護用)

  • カメラ/Gopro(防水ケースやストラップ付き。バッテリー充電済み)

  • コンタクト予備 or 度付きマスク(視力矯正が必要な人向け)

  • ラッシュガードマリンシューズ(日焼け・擦り傷防止)

  • 各種予防薬(酔い止め以外に、酔いに効く梅干しや酔い止めバンド、切り傷に備え絆創膏など)

  • おやつ(船上で食べられる軽食、チョコやクラッカー、酔いに効く飴など)

  • 飲料水(ショップで用意が無い場合に備え500ml程度)

  • 小型懐中電灯(洞窟や陰を照らすのに。夜間帰り用にも)

  • ログブック&ペン(ライセンス保持者や講習受講者は持参)

  • サンダルストラップ(船上で脱げないようにするバンド)

以上をまとめ、防水リュックなどに入れて持参すると良いでしょう。貴重品は最小限に留め、必要ないもの(高額なアクセサリー、不要なクレジットカード等)はホテルのセーフティボックスに置いて行きます。船上での盗難は滅多にありませんが、自己管理が原則です。スマホやカメラは使用しない時は防水バッグに入れ自分のそばに置きます。現金も大金は持ち歩かず、必要額+予備少々に抑え、分散して身につけておくと安心です。

紛失対策として、落としやすいサングラスや帽子にはストラップを付け、船の上で風に飛ばされないよう注意します。水中で撮影するカメラ類も必ずストラップかリールで自分につないでおきましょう。最後に、陸上で盗難に遭わないよう、集合場所で荷物から目を離さないことも重要です。送迎車に荷物を置いて潜る場合は、貴重品だけ持ってボートに移すなど対応します。持ち物リストで忘れ物を防ぎ、盗難・紛失対策も講じて、安心して当日を迎えましょう。

器材レンタルとフィッティングのポイント

マスク・スノーケル・フィン・ブーツ・ウェットスーツの選び方

初めてのダイビングでは基本的にレンタル器材を利用することになります。現地でサイズ合わせをしますが、その際のポイントを押さえておきましょう。マスクは顔に合うものを選ぶことが重要です。つける前にストラップを持たず顔に当てて軽く息を吸い込み、手を離しても落ちないかをチェックします。これで吸い付くものはフィットしています。鼻がきつくないか、視界が広いかも確認します。

スノーケルはレンタルだとシンプルなJ字型が多いですが、初心者でも扱いやすい排水弁付きや波除け付きのものを頼めることもあります。特にこだわりがなければお任せで良いでしょう。フィンはフルフットタイプ(素足で履くもの)とストラップタイプ(ブーツと併用)の2種があります。セブではビーチエントリーもあるため、ブーツ+ストラップフィンが一般的です。サイズはブーツ着用状態でフィンポケットに足を入れ、踵のストラップが余裕をもって掛かるものを選びます。きつすぎると足がつったり痛くなり、緩すぎると水中で外れやすいので、スタッフに微調整してもらいましょう。

ブーツはサイズ換算で自分の足サイズ+0.5~1cm程度が目安です。指先が楽に動かせるくらいで、ファスナーを閉めた時に圧迫感がないか確認します。ウェットスーツも身長・体重に合わせて選びますが、伸縮性があるので多少きつめでも水に入ればフィットします。ピチピチすぎて動きづらい場合は無理せずワンサイズ上をお願いしましょう。逆にブカブカだと水が循環して寒いので適度な締めつけが肝心です。

女性で冷えが心配な人は長袖長ズボンタイプ、男性は短パンタイプでもOKですが、日焼け防止のためにもできれば長袖長ズボンの3mmスーツがおすすめです。着替えはスタッフも手伝ってくれますので、遠慮なく頼みます。器材選びは安全と快適性に直結します。合わない点があれば恥ずかしがらずに申告し、納得いくフィッティングになるよう調整しましょう。初めてだとピンと来ないことも多いですが、インストラクターが適切に見立ててくれるはずです。

度付きマスク・小柄体型向けサイズの確認

視力矯正が必要な方や、小柄で通常サイズが合わない方は、事前にその旨をショップに伝えておくとスムーズです。度付きマスクが必要な場合、レンタル対応しているか確認しましょう。先述しましたが-3.0や-5.0など標準度数のレンズを備えているショップもあります。どの程度の度数が必要か(左右別なら両目)を事前に申告します。強度の近視・乱視だとレンタルが無い可能性があるので、自前で用意できるとベターです。ソフトコンタクトならほとんど問題ないので、コンタクト派の方はそのままでも良いでしょう(念のため予備を持参)。

体格が小柄な方、特に子供や小柄女性は合う器材が限られることがあります。ウェットスーツはXXS等極小サイズがあるかどうか、子供用サイズのBCD(浮力ジャケット)やフィンがあるかも確認ポイントです。日本人経営のショップなら小柄な日本人用に揃えていることが多いですが、欧米系ショップだと最小がSサイズしかなくブカブカということも。体重や身長を伝えて、「自分に合う器材ありますか?」と聞いておけば安心です。また逆に背が高い/足が大きい方もしかりです。

男性で190cm以上や30cm超の足サイズだと特殊サイズ対応の確認が必要です。タンクのベルト調整も大柄な人だと最大にしないと閉まらないこともあるので、インストラクターが事前に把握していると対応しやすくなります。女性特有の問題として、器材が男性向け基準で作られていることがあります。BCDがぶかぶかだったり、フィンが重すぎたりする場合は遠慮なく交換希望を伝えましょう。最近は女性用軽量器材も増えているので、用意があれば出してもらえます。

結局のところ、自分の体にフィットする器材を使うことが水中ストレス軽減の鍵です。少しでも「大きいな」「緩いな」と感じたら、インストラクターに相談してサイズ違いや代替器材がないか確認しましょう。恥ずかしいことでは全くなく、むしろ安全意識の高い行動です。快適に潜るためにも、サイズ確認は怠らずに行ってください。

持参派のための機内持ち込み・預け荷物のコツ

既に自分のダイビング器材を持っている、あるいはマスクやフィンだけでも愛用を持参したいという方もいるでしょう。機材持参派の方に向けて、航空機での運搬時のコツを紹介します。まず重器材(BCD・レギュレーター等)や鋭利な器材(ダイブナイフなど)は受託手荷物(チェックイン荷物)に入れます。機内持ち込みは刃物類や高圧容器(タンク)は不可なので注意。BCDはかさばりますが、スーツケースに圧縮して詰めればそれなりに収まります。レギュレーターは精密機器なので、可能であれば機内持ち込みしたいところです。

しかし重量があるので、他の貴重品やカメラ類との兼ね合いで判断してください。壊れやすいゲージ類はレギュセットから外し、保護しておくと安心です。ダイブコンピュータカメラライトなどの電池式電子機器は、リチウム電池規制の関係もあり基本機内持ち込みが推奨です。コンピュータやライトは電池を外すかロックして誤作動しないようにします。ウェットスーツは衣類と同じ扱いで特に問題ありません。濡れたままのを帰りに詰める際は防水バッグに入れましょう。

フィンは長さがあるので預け荷物が良いですが、軽量なら機内持ち込みも可。ただし飛行機の頭上の荷棚に入らない場合もあるので、やはりスーツケースに対角に入れるのが無難です。マスクは割れやすいので必ずハードケースに入れ、できれば手荷物で持ち込みます。軽器材(マスク・スノーケル・小物)は手荷物にまとめ、重器材刃物類は預ける、という分け方が一般的です。航空会社によってはダイビング器材一式をスポーツ用品枠で別途無料で載せてくれる場合もあります(要事前申告)。

利用する場合はフライト予約時に確認しましょう。預け荷物で心配なのは紛失や遅延です。乗り継ぎ時などロストバゲージすると到着日に器材が無い!という事態も。リスクを下げるため、重要な器材は機内持ち込みし、預け荷物にもネームタグと連絡先を付けておきます。テックダイビング用のソーダ石灰などの持ち込みは特殊なため省略しますが、普通のレジャーダイブ器材なら基本問題なく運べます。ただしタンクやカートリッジ類(CO2ボンベなど)は不可ですのでご注意ください。これらの工夫で自前器材も安心してセブに持ち込めるでしょう。普段使い慣れたギアで潜る快適さは格別ですから、しっかりパッキングして旅に臨んでください。

GoProレンタル/持参時の注意(曇り止め・バッテリー・データ受け渡し)

水中撮影用にGoPro等のアクションカメラを利用する方も増えています。ショップによってはGoProレンタルサービスを行っている場合もあります。その際のポイントと、自分でGoPro等を持参する場合の注意をまとめます。レンタルGoProを利用する場合、申し込み時に予約しておくと確実です。料金は1日数千円程度で、SDカードを持参すればデータを持ち帰れます。カードを持っていないときはショップがデータ転送を手伝ってくれるか、有料でカード購入となることもあります。

レンタル機材はスタッフが基本セットしてくれますが、レンズの曇り止めハウジングの締めなどもしっかり確認してもらいましょう。自分で撮るか、ガイドに託すかも事前に相談します。初めてならインストラクターにお願いして自分の泳いでいる姿などを撮ってもらうと良い記念になります。持参する場合は、まず曇り止め対策が重要です。水中ではカメラ内部が曇りやすいので、ハウジング内に吸湿シート(アンチフォグインサート)を入れるか、潜る前にレンズを冷やしておきます。

またバッテリーは満充電はもちろん、予備も持って行きましょう。GoProは動画撮影で意外と電池消耗が早く、2ダイブもつかどうかギリギリです。休憩中に交換できるよう複数用意します。メモリーカードも容量十分か確認し、途中でいっぱいにならないように。もし予備カードがあれば安心です。ストラップフロートも必須です。水中で手を離しても流れていかないよう手首ストラップやリールで自分に繋ぎ、万一落としても浮くようフロートを付けておくと回収可能性が上がります。

GoProは小さいので一度落とすと見失いやすいためです。撮影モードは事前にテストし、初心者は広角のワイド設定で動画中心に撮ると失敗が少ないです。最後にデータの受け渡しについて。レンタルの場合はSDカード返却時にデータコピーをさせてもらうか、そのままカードを貰える(買い取り)ケースもあります。自分のGoProなら自宅で取り込めばOKですが、旅先でスマホに転送したいときはアプリやカードリーダーを用意してください。いずれにせよ、せっかく撮った映像はバックアップを忘れずに。楽しかった体験を映像で振り返るのは格別ですが、撮影に夢中になりすぎて安全を疎かにしないよう、そこだけは注意しておきましょう。

海況・季節・ベストシーズンの実際

年間の水温・気温・降雨の傾向

セブ島の気候は一年を通じて概ね温暖で、極端な寒暖差はありません。気温は平均して日中30℃前後、夜間でも25℃程度と常夏の陽気です。季節による違いは主に降雨量で、12~5月が乾季、6~11月が雨季にあたります。水温は年間を通じて27~30℃程度と高く、海も温かいです。一番水温が上がるのは4~6月頃で30℃に達することもあり、逆に1~2月頃は24~26℃くらいまで下がることがあります(特に深場や離島周辺は少し低めになる傾向)。

それでも日本の海に比べれば真冬でも遥かに温かいので、通年3mm前後のウェットスーツで対応可能です。降雨について、乾季は晴天率が高く雨はほとんど降りません。湿度も比較的低めで快適に過ごせます。雨季はスコールが頻繁にあり、一日中しとしと降ることは少ないですが、一時的な土砂降りに遭遇することがあります。特に7~10月はフィリピン周辺で台風が発生しやすい時期です。ただしセブ島自体は台風銀座から少し外れているため、直撃はあまり多くありません。

それでも強風域に入れば波が高くなり、ボートが出せないこともあるので注意が必要です。透明度は雨季に若干落ちる傾向があります。川からの濁流やプランクトン増加で、雨季は10~15m程度の日もあります。一方乾季は20~30mの抜群の透明度が期待できます。また雨季はクラゲが増えたり、日照不足で水温が下がる要因にもなります。しかし雨季でも晴れ間はあり、ずっと雨続きという訳ではありません。季節ごとの特徴をまとめると、ベストシーズンは乾季の12~5月、特に3~5月は海況安定&水温高めで最高。

雨季の6~11月は不安定ながら、人が少なく魚影は濃くなる傾向もあります。いつ行っても極端に悪いということは少ないですが、好条件を狙うなら乾季後半をおすすめします。旅行前には現地の天気予報もチェックし、雨季に行くなら予備日の設定やスケジュール調整を考慮しておくと良いでしょう。

乾季・雨季の違いと透明度

セブ島の乾季(12~5月)と雨季(6~11月)では、ダイビング環境に以下のような違いが見られます。乾季は前述の通り晴天が多く海も穏やかで、平均的に透明度が高いです。特に2~4月頃は海中のプランクトン量が少なく、水の青さが際立つクリアな視界を楽しめます。遠く離れたダイバーの泡やシルエットがはっきり見えるほどで、30m先の根までくっきりということも珍しくありません。一方雨季はスコールに伴う陸からの濁り水や、植物プランクトンの増殖で透明度が落ちがちです。

台風接近時は大きな波が立ち、底砂が巻き上がることも。とはいえ常に悪い訳ではなく、雨の合間の晴天時には20m前後見えることもあります。ただ乾季と比べるとムラがある印象です。水中写真や動画をメインに考えるなら、透明度の良い乾季がおすすめです。雨季は透明度では劣りますが、その分栄養豊富な水のおかげで魚群やプランクトンを食べに来る大型生物が多く見られるという利点もあります。マンタやジンベエなどは雨季の方が出現しやすいと感じるダイバーもいます。

また雨季は観光客もやや減るため、人気ポイントでも空いていて快適という側面もあります。つまり透明度と海況の安定を取るなら乾季、生物の活発さや穴場感を楽しむなら雨季にも一理あるということです。なお、水中の明るさも季節で違います。乾季は太陽光が強烈に差し込み、水中が明るく色も映えます。雨季は曇天だと水中が少し薄暗く感じ、カメラ撮影ではストロボが欲しくなる場面も。総合的に見ると初心者の初ダイブ体験はやはり乾季がベターでしょう。

気候的にも過ごしやすく、日本の冬~春シーズン(特に2~3月)に行けば、セブのベストコンディションに当たる確率が高いです。雨季に行く場合は多少の濁りや雨は想定内とし、その分マクロ生物探しに切り替えるなどフレキシブルに楽しめれば問題ありません。それぞれの季節の特性を理解し、上手に付き合いましょう。

台風時の運行基準と安全第一の中止判断

フィリピンの台風シーズン(主に7~10月頃)に当たる場合、台風情報にも注意を払う必要があります。セブ島は直撃こそ少ないですが、近海に台風があるだけで波浪が高まり強風が吹きます。海況が悪化した際の運行基準としては、フィリピン沿岸警備隊(コーストガード)が**「No Sail Order(船舶出航禁止令)」を出すかどうかが一つの目安です。小型ボートの運航が禁止されれば、当然ダイビングボートも欠航となります。風速や波高の基準は明確ではありませんが、例えば風速20ノット以上・波高2.5m以上が予想される場合などはかなり危険で中止となるでしょう。

また台風接近時は豪雨で視界不良になるので、その意味でも中止判断が下されます。ショップ側は安全第一で判断しますので、ゲストはそれに従うだけですが、中止に至る判断基準を知っておくと心構えができます。「これくらいなら潜れるのに…」と思う場面でも、地元の経験に基づく決定であれば尊重しましょう。

特に初心者の場合、少し波が高いだけでも船酔いやエントリーの危険が増します。インストラクターが「今日はやめておきましょう」と言ったら、それはあなたの安全を最優先した結果です。お金より命が大事ですから、返金や日程変更に応じてもらいつつ、安全な別日に仕切り直すのが得策です。台風によるキャンセル時の返金規定はショップごとに異なりますが、通常は全額返金バウチャー発行**(別日に振替可能)など良心的に対応してくれます。

無理に強行して事故でも起きたら大変なので、安全第一の中止判断には素直に従い、代替プランで旅行を楽しむ切り替えが大切です。なお、台風一過で海況が回復するまで1~2日かかることもあります。台風後は漂流物やゴミが増えることもあるので、焦らず状況を見極めてから再開すると良いでしょう。天候ばかりは人の力でどうにもならない部分ですので、寛容な気持ちで向き合い、安全マージンを常に優先しましょう。

サーディン・回遊魚・マクロの季節傾向

セブ周辺で見られる特筆すべき生物群について、季節ごとの傾向を簡単に紹介します。まず**サーディン(イワシの群れ)**ですが、モアルボアルのイワシ玉は年中ほぼ同じ場所に留まっているので季節による移動はほとんどありません。従っていつ行っても見られる可能性が高いです。ただし繁殖期などで多少群れの規模や位置が変わることもあり、雨季は若干散らばり気味という声もあります。回遊魚では、マラパスクアのニタリザメはこれも通年で見られますが、プランクトンが増える雨季はマンタなど他の大物遭遇率が上がることがあります。

一方、乾季の透明度が良い時期は遠方からハンマーヘッドシャークなどの目撃例も報告されています(確率は低いですが)。オスロブのジンベエザメは人工餌付けなので季節関係なく毎日出現します。天然環境でジンベエを見るなら近隣のドゥマゲテやレイテで季節回遊がありますが、セブ滞在ではオスロブ一択でしょう。ウミガメもセブ各所で通年見られますが、産卵期(初夏)には浅場に多く集まる傾向があるかもしれません。マクロ生物(小さい生き物)は季節よりポイント環境に左右されます。

雨季は水温低下でウミウシ類が増えるとか、乾季はカラッとしているので甲殻類が活発などと言われますが、実際はほぼ通年観察できます。ただ、台風後は砂地が変化して隠れていた生物が顔を出すこともありますし、産卵期の特定時期にしか見られない繁殖行動などもあります。例えば夏場にはコウイカの産卵、冬場にはミツボシクロスズメダイの幼魚が増える、といった変化が楽しめます。プランクトン夜光も雨季のほうが強く光ると言われます。まとめると、サーディン・ウミガメは年中安定、ニタリ等大物はやや雨季有利、透明度重視なら乾季でマクロ探しといったところでしょう。

初心者のうちは季節を深く気にしなくても充分楽しめますが、「あの生物を見たい」という希望があるならベストシーズンを調べて狙うのも一興です。とはいえ自然相手なので絶対はありませんから、期待しすぎず、ご縁があればラッキーくらいの気持ちで臨むと良いでしょう。

健康・体調管理と当日のコンディショニング

耳抜きのコツと練習法

ダイビング初心者がつまずきやすいポイントの一つに耳抜き(耳圧調整)があります。耳抜きとは、水深が深くなるにつれて耳にかかる圧力を逃がすため、中耳に空気を送り込んで鼓膜の内外の圧力を等しくする行為です。最も一般的な方法はバルサルバ法で、鼻をつまんで口を閉じ、息をゆっくりと鼻に送り込むように圧をかけます。そうすると「プチッ」と耳管が開き、中耳に空気が通って耳が抜けます。他にもトインビー法(鼻をつまんで唾を飲み込む)やあくびの動作で耳管を開けるやり方もあります。

耳抜きはコツを掴むまで難しく感じるかもしれませんが、潜行中はこまめに頻繁に行うことが肝心です。耳が痛くなる前に早め早めに空気を送るとスムーズに抜けます。もし痛みを感じたらすぐに停止し、少し浮上して再度試みます。絶対に痛みを我慢して続けてはいけません。練習法として、陸上で事前に耳抜きの感覚を掴んでおくと良いでしょう。飛行機の上昇・降下時やエレベーターで高層階に移動する際など、軽い気圧変化の機会に鼻抜きをやってみます。

プールやお風呂で潜ってみるのも有効です(耳に少し圧がかかる深さで試す)。また、潜る数日前から耳管ストレッチとして顎を左右に動かしたり、ガムを噛んだりして耳管周辺の柔軟性を上げておくことも耳抜きしやすさに繋がります。人によっては鼻スプレー(血管収縮剤)を潜る前に使用して鼻の通りを良くする場合もありますが、これはお医者さんと相談の上で。鼻炎持ちの方は潜水前に市販の点鼻薬で炎症を抑えるのも手です。いずれにせよ、耳抜きは焦らずゆっくり確実に行うことが大切です。難しいと感じたらインストラクターにサインを出し、ゆっくり時間をかけて対処しましょう。ほとんどの人は数回潜るうちにコツを掴めるので、練習あるのみです。

前日の飲酒・睡眠・日焼けの影響

ダイビング当日のコンディションを左右する要素として、前日までの過ごし方が挙げられます。まず飲酒について。南国リゾートではついお酒が進みがちですが、深酒すると翌日二日酔いや脱水症状となり、ダイビングに悪影響を及ぼします。アルコールは血管拡張作用で窒素の吸収・放出にも影響するとも言われ、減圧症リスクを高める可能性があります。また酔いが残っていると判断力や体調管理が鈍り危険です。ですから前夜はほろ酔い程度に留め、深酒は避けるのが鉄則です。

飲んだ後はスポーツドリンクなどで水分補給しておくと翌日楽になります。次に睡眠です。十分な睡眠は体調を整える基本です。興奮して眠れないかもしれませんが、できれば7~8時間は寝たいところです。睡眠不足だと集中力が落ち、トラブル対応が遅れたりパニックを起こしやすくなります。前日は早めに就寝し、もし寝付きが悪ければホットミルクを飲む、電子機器を早めにオフにするなどしてリラックスに努めましょう。日焼けの影響も軽視できません。

到着日や前日にビーチで遊びすぎて肌が真っ赤に日焼けすると、翌日ウェットスーツを着るのも辛くなります。日焼けした肌はヒリヒリし、塩水が染みて痛むこともあります。さらに日焼けで体力を消耗し脱水気味にもなります。南国の太陽は想像以上に強いので、日焼けは極力避けるか、するにしてもほどほどにしましょう。どうしても焼きたい人も、潜る日は皮膚に負担がない程度に留めるのが無難です。万一日焼けで痛い場合はウェットスーツの下に薄手のインナーを着るなど対策してください。まとめると、前日はお酒控えめ・睡眠しっかり・日焼け控えめが鉄則です。これらを守ってフレッシュな体調で当日に臨めば、酔いや疲れで苦しまなくて済み、存分にダイビングを楽しめるでしょう。

体調不良時のキャンセル・延期判断

旅行中は思わぬ体調不良に見舞われることもあります。前日または当日に風邪をひいたり熱が出たりした場合、無理にダイビングするべきではありません。鼻詰まりがあると耳抜きはほぼできませんし、発熱時のダイビングは脱水や減圧症リスクが高まります。嘔吐や下痢を伴う場合も言語道断で、海中どころではないでしょう。少し喉が痛い程度なら様子見ですが、平時より明らかに体調が悪い場合はキャンセルを選択すべきです。ショップに連絡し、可能なら日程変更してもらえないか相談してみます。

医師の診断書があればキャンセル料免除になる場合もありますが、旅行中なら難しいケースが多いです。それでも安全には代えられません。せっかく料金を払ったから…と無理して潜って悪化させたり、水中でトラブル起こす方がよほど損です。熱がなくても偏頭痛や酷い船酔いなども当日判断で中止にしてOKです。ショップ側もその方が安心ですので、遠慮せず伝えましょう。インストラクターは毎日潜るプロですが、ゲストは数日の旅行で体調管理も大変です。ちょっとした睡眠不足や胃腸不良でも、水圧下では平時以上に負担になることを認識してください。

薬で誤魔化すのも限界があります。目安として、37.5℃以上の熱ひどい鼻づまり激しい下痢嘔吐めまい等の症状がある場合は中止を決断します。軽い二日酔いや寝不足程度なら当日様子を見てから判断しても良いですが、少しでも迷う場合はガイドに相談しましょう。キャンセル・延期は恥ではなく勇気ある決断です。費用面ではキャンセル規定に沿うしかありませんが、自分の体と安全を最優先に考えてください。ショップによっては返金ではなく、後日使えるバウチャーをくれる場合もあるので、また元気な時にリベンジすれば良いのです。ダイビングは健康な状態で楽しむもの。無理な日は潔く諦めることも、楽しい思い出を台無しにしないための大事な判断です。

船酔い対策(食事・水分・薬)と復帰手順

もしボート上で船酔いになってしまった場合の対策と、そこから復帰してダイビングを続ける方法について触れます。まず、乗船前の段階でできる予防策としては、適切な食事と水分摂取です。朝は空腹でも満腹でもなく、消化の良いものを少量食べておきます。トーストやおにぎり、フルーツなどが良いでしょう。油っこいものや乳製品は避けます。出航30分~1時間前に酔い止め薬を飲むのも非常に効果的です(乗船後では遅い)。薬が効きやすい人ならアネロンニスキャップ等1錠で大抵防げます。

水分も出航前にコップ1杯程度取り、脱水を防ぎます。ただし飲み過ぎは胃がチャポチャポして良くありません。乗船後の対策としては、できるだけ船の中央で波の上下動が少ない場所に座る、風に当たり新鮮な空気を吸う、遠くの景色を眺める、などが基本です。船室の中にこもったり下を向いてスマホを見るような行為は避けます。もし気持ち悪くなったら、我慢せず早めに嘔吐してしまった方が回復が早いです。吐く時は船べりに行き、風下に向かって吐きます。

周囲の人に一声かけると良いでしょう。吐いた後は口をすすぎ、スポーツドリンクなど飲めれば少し飲んで横になります。大抵、吐いてしばらく休めば気分はかなり楽になります。ここから復帰してダイビングを続行する手順ですが、1本目を飛ばして休み、体調が戻ってから2本目に参加するという選択もあります。特に体験ダイバーであれば無理せず1本だけにするのもありです。休む間、横になって目を閉じてじっとしているのが良いでしょう。酔い止めを追加で飲むのは、薬によっては可能ですが大抵1日1回なので難しいです。

ショウガ飴や梅干しで口直しするのも効果があります。体調が戻ったらインストラクターに報告し、問題ないか確認してもらってからエントリーします。水中に入れば酔いが収まる人も多いですが、また気持ち悪くなったらすぐ合図して浮上させてもらいましょう。無理に続行しないことが大切です。もし完全にダウンしてしまった場合は、安全のため潜らず船上で休んでいる決断も必要です。同行者の写真を撮ったり景色を眺めたりして気を紛らわせ、帰港までゆっくり過ごしましょう。酔いは辛いものですが、予防と対処を知っていれば怖くありません。一度経験すれば次はもっと上手に対処できるはずなので、あまり落ち込まず前向きにいきましょう。

初心者が最初に覚えるべきスキル

呼吸・浮力コントロールの基本

水中での呼吸浮力コントロールはダイビングの基本中の基本です。まず呼吸について。ダイビングではレギュレーターから供給される空気を口で吸って口で吐くのが原則です。普段鼻呼吸に慣れている人は最初戸惑いますが、マウスピースをくわえたら意識してゆっくり深い呼吸を心がけてください。決して息を止めないことが重要です。吸ったら必ず吐く、常に呼吸を続けることで肺の圧力変化による事故を防げます。ゆっくり大きく息を吐くと心も落ち着きます。慣れてきたら呼吸のリズムで浮力を微調整することもできます。

吸うと肺が風船のように膨らみ浮力が増し、吐くとしぼんで浮力が減るため、呼吸は浮力コントロールの一部としても利用できるのです。ただし過度に意識せず、自然な深呼吸ペースでOKです。次に浮力コントロール。これはBCD(浮力調整具)への給排気と、先述の呼吸で行います。エントリー後にBCDに適量空気を入れ、中性浮力(浮きも沈みもしない状態)に調整します。初心者は怖がってBCDに空気を入れすぎ浮いてしまうか、逆に抜きすぎて沈みがちです。適正な量はインストラクターが手伝ってくれるので、フィンが海底すれすれでホバリングできる感覚を掴んでください。

浮上・下降したいときはBCDのインフレーターホースのボタンで空気を出し入れします。上昇したい時は少しずつ空気を足し、下降したい時は適宜抜きますが、一度にやりすぎず少しずつがコツです。浅い方が浮力変化が大きいので、5m以浅では細かな調整が必要です。基本は中性浮力を常に目指し、身体を水平に保って泳ぎます。フィンを上下に激しく動かしすぎると上下動してしまうので、穏やかなフィンキックで静かに進みましょう。

最初は難しくても、繰り返し練習するうちに感覚が掴めてきます。焦らず呼吸を整えリラックスすることが上達への近道です。インストラクターの動きをよく見て、適宜真似してみましょう。呼吸と浮力コントロールが上手になると、水中でまるで宇宙遊泳のようなふわふわと浮いた感覚を楽しめます。これはダイビングの醍醐味でもあるので、ぜひ身につけてください。

マスククリア/レギュレーターリカバリー

初心者が最初に練習する基本スキルとして、マスククリアレギュレーターリカバリーがあります。これらは水中でトラブルが起きても対処できるようにするための重要な技術です。マスククリアとは、水中でマスク内に入った水を排出する方法です。ダイビング中、笑った拍子や顔の動きでマスクに水が多少入るのはよくあることなので、この対処を覚えておくと安心です。やり方は簡単で、まず鼻から息を出せるように少し上を向きます

次にマスク上部(おでこ側)を軽く押さえ、下部を少し浮かせます。ここで鼻からフーッと息を強く吐き出すと、吐いた空気がマスク内の水を下から押し出してくれます。これでマスク内は空気で満たされ視界がクリアになります。一度で抜けきらない場合はもう一度息を吐きましょう。コツは上を向きすぎないことと、鼻からしっかり息を出すことです。慌てずゆっくりやれば簡単にできます。次にレギュレーターリカバリー

万一口からレギュレーター(呼吸器)が外れてしまった場合に、自分で再びくわえて呼吸を再開するスキルです。方法は2通りあります。1つはスウィープ法で、右手を大きく下方に伸ばし自分の右脇腹から後方に回します。すると腕にホースが引っかかり、レギュレーターのマウスピースが右腕に当たるのを感じます。それを掴んで口に戻します。もう1つはホーストレース法で、右手でレギュレーターホースの付け根(ファーストステージ)から辿っていきマウスピースを探す方法です。

初心者にはスウィープ法が分かりやすいでしょう。口に戻したら、パージボタン(正面のボタン)を押して中の水を吹き飛ばすか、勢いよく吐き出して水を出し、すぐに吸います。ちょっと怖いですが、水はすぐ抜け空気が出てきます。万一咄嗟に見つからない場合でも、落ち着いてバディのオクトパス(予備呼吸器)を借りればいいので慌てないことが大事です。これら2つのスキルは体験ダイビングでも浅場で教えてもらえるでしょう。**「水が入っても対処できる」「呼吸器が外れても大丈夫」**という安心感は、自信に繋がります。ぜひ練習の際にマスターして、不測の事態でも落ち着いて対処できるダイバーを目指しましょう。

トラブル時の対処(落ち着く・伝える・浮上する)

ダイビング中に何らかのトラブルが起きた場合、初心者ダイバーが取るべき基本行動を確認しましょう。トラブルといっても様々ですが、代表的なのは「耳抜きできない」「マスクに水が入った」「レギュレーターから息ができない(ホースが折れた等)」「体調不良やパニック」などが挙げられます。共通して大切なのは、まず落ち着くことです。水中で焦ってパニックになると誤った行動に繋がり危険です。一度立ち止まって深呼吸し、問題を客観視します。

もし呼吸が確保できているなら慌てる必要はありません。次にバディやインストラクターに伝えること。ハンドシグナルや所作で、自分の状態を知らせます。例えば「耳が痛い」は耳に手を当て×印、「息ができない/エアがない」は喉を手で切るジェスチャー、「マスクトラブル」はマスクに指を指すなどです。伝えたら相手が対処法を示してくれるか、助けてくれるので、それに従います。インストラクターは適切な解決策を持っているので、自分一人で無理に何とかしようとせず頼ることも大切です。

もし自力対処が可能なら落ち着いて習った通りに行います(前述のマスククリアやレギュレーターリカバリー等)。それでも問題が解決しない場合や、不安が拭えない時は、浮上するサインを出して安全に浮上するのが最終手段です。インストラクターに一緒に浮上してもらいましょう。ゆっくり浮上し水面に出ればひとまず危険は去ります。ボートや浮具に掴まって休み、呼吸を整えます。状況に応じてそのままダイビングを中止し、船に上がる判断も必要でしょう。例えばパニックになりかけた場合は無理せず一度終了する勇気も重要です。「落ち着く・知らせる・適切に対処/浮上」が基本の流れです。

また、バディのトラブルを見た場合も同様に、相手に落ち着くようジェスチャーし、問題を聞き出し、必要ならオクトパスを渡す、掴んで一緒に浮上する等手助けします。初心者のうちは常にインストラクターがそばにいるので過度に心配はいりませんが、自分でもトラブル対処のイメトレをしておくといざという時に冷静になれます。ダイビングは万全な装備と準備で事故率は低いですが、ゼロではありません。**何か起きても「止まって、考えて、伝えて、対処する」**という心構えを持っていれば、大抵のことは乗り越えられます。これから潜る中で経験値も上がっていきますので、焦らず安全第一で対処してください。

安全停止の意味と実践

ほとんどのレクリエーショナルダイビングでは、浮上の際に安全停止を行います。安全停止とは、減圧症予防のために浅瀬(水深約5m)で数分間停止することです。具体的には、ダイビング終了時に浮上を開始し、水深5m付近で3分間程度とどまります。その間、体内に溜まった窒素を余分に放出する時間を確保するわけです。無減圧限界内のダイビングでは義務ではありませんが、「念のため」の習慣としてほぼ全てのダイバーが実施しています。初心者にとっては、この安全停止をきちんとできるか不安かもしれません。

やること自体はシンプルですが、5mでピタリと止まるには中性浮力のスキルが求められます。インストラクターがそばで深度を調整してくれるので、BCDの空気量を微調整しつつ、ゆったりホバリングしていましょう。壁やロープがある場合は掴んで待つこともできます。安全停止中は特にやることもないので、周囲の小魚を観察したり記念撮影したりリラックスして過ごします。3分は意外と早く経ちます。ダイブコンピュータやインストラクターの合図で時間になったら、ゆっくり浮上して水面に出ます。

この安全停止を怠ると必ずしも減圧症になるわけではありませんが、**「念には念を入れる」**のが安全潜水の基本です。特に複数本潜った日などは疲労や微小な窒素残留もあるので、確実に行いましょう。なお、何らかの事情で5mに留まれない場合(波が強いなど)は、浅くてもできる範囲で可能な限り減圧時間を設けるのが望ましいです。例えば浮上に2~3分かけるとか、水深3mでもいいので少し止まるなど。

コンピュータによっては自動的にカウントしてくれるので、それを参考にします。安全停止は大げさに言えば命を守る最後のケアです。初心者のうちはインストラクター任せでOKですが、理由と方法を理解して積極的に実践することで、より安全意識の高いダイバーになれます。残りの空気を確認しつつ、余裕を持って安全停止に入れる計画を立てることも大事ですね。しっかり実践して、安心して水面へ戻ってきましょう。

エシカルダイビングと海を守る行動

サンゴを傷つけないフィンワークと中性浮力

美しいサンゴ礁を未来に残すために、ダイバー一人ひとりがサンゴを傷つけないことを心掛けなくてはなりません。そのための具体的な行動の第一は、フィンワーク(フィンキック)の注意です。浅いリーフの上やサンゴに近い場所を泳ぐ際、フィンの先がサンゴに当たってしまうと、それだけでサンゴを折ったり傷つけたりする可能性があります。特に初心者のうちはバランスが不安定で、意図せずフィンで蹴ってしまうことが多いです。

これを防ぐには、なるべく水平姿勢を保ち、フィンは上下ではなく小さく横方向に動かすようにします。サンゴの上を通過するときは、フィンを持ち上げて体を水平よりやや起こし気味にすると当たりにくいです。狭い場所ではキックをやめ、手で軽く岩に触れて姿勢を維持しながら通過する方法もあります(グローブをしていない場合、触れるのは極力避けますが、安全のために死んだ岩に一瞬触る程度は許容されます)。何より中性浮力をきちんと取ることがサンゴ保護に繋がります。

浮力が安定していれば、意図せず沈んでサンゴに乗っかってしまうようなことも防げます。逆に浮力不足でズルズル沈み、手や膝をサンゴについてしまうのはNGです。多少浮き気味なくらいで泳ぎ、必要なら岩場付近ではBCの空気を抜いてふわりと浮いた状態で観察しましょう。サンゴ礁にはウニや鋭利な殻の貝もあり、サンゴを傷つけるだけでなく自分も怪我をする恐れがあります。フィン先だけでなく、膝やカメラ機材など体の他の部分にも注意してサンゴから距離を保ちましょう。

最近はダイブツアー時に「サンゴの上ではフィンは絶対当てないでください」とブリーフィングで強調されるほど、環境に配慮したダイビングが求められています。海を守る行動の基本は、**「触らない・折らない・持ち帰らない」**です。何百年もかけて成長したサンゴを一瞬で壊してしまうことのないよう、フィンキックひとつにも意識を向け、宙に浮いて泳ぐことを心がけましょう。それが結果的に上達にもつながり、環境にも優しいダイバーへの第一歩となります。

野生生物への接触・追い込み・餌付けを避ける

ダイビング中にウミガメや魚、その他の海洋生物を見かけると、つい近づいて触ってみたくなったり、写真を撮ろうと追いかけたくなるかもしれません。しかし、野生生物への接触追い回し、そして意図的な餌付けは避けるべき行動です。まず触れることについて。たとえ友好的に見えるウミガメや大人しいナマコであっても、人間が触ることは生物にストレスを与え、場合によっては体表の粘液や生態系に悪影響を及ぼします。

中には毒を持つ生物(オコゼやクラゲ、エイなど)もいるので、自分の身を守るためにも触らないのが鉄則です。追い込み行為も、生物に強いストレスを与えます。例えばウミガメが泳いでいるのを見て、後を追ってしまうと、カメは息継ぎに上がれず溺れてしまう危険すらあります。また、いたずらに魚群の中に突っ込んで散らしてしまうと、それまで見れていた自然な行動が見られなくなります。

プロのガイドは生物を興奮させないよう静かに誘導し観察させてくれますが、勝手に追い回すゲストがいると台無しです。餌付けに関しては、一部観光地で魚寄せのパンを撒いたりして魚群を演出することがありますが、これは生態系を乱す行為です。魚が人工餌に慣れると自然な摂餌行動が失われたり、特定種だけ繁殖してバランスが崩れたりします。観光客に人気のオスロブのジンベエザメ餌付け問題などはまさに倫理的議論の的です。

責任あるダイバーは、野生生物は野生のまま観察することをポリシーとすべきでしょう。写真を撮りたい場合も、相手の逃げ道を塞がず、フラッシュも極力控え、短時間で済ませます。どうしても背景に写りたい場合も無理に近寄りません。魚やウミガメの方から寄ってきても、静かに受け入れて触らないでおきます。

その方が相手も安心してそばにいてくれます。海中は彼らの棲み家であり、こちらはお邪魔させてもらっている立場です。「Take only pictures, leave only bubbles」(写真以外何も持ち帰らず、吐いた泡だけ残していく)という有名な標語があります。ダイバーは観光客であると同時に、海の世界のゲストでもあります。節度を持って接し、生物本来の姿を尊重するエシカル(倫理的)なダイビングを心がけましょう。

環境に配慮した日焼け止め・ゴミ持ち帰り

海洋環境を守るためには、ダイバーの日常的な行動にも気を配る必要があります。その一つが日焼け止めクリームの選択です。一般的な日焼け止めに含まれるオキシベンゾンやオクチノキサートといった成分は、サンゴに有害であることが研究で示唆されています。ごく微量でもサンゴの幼生を死滅させたり白化を促進する恐れがあるのです。そのため、ハワイなどでは一部成分を含む日焼け止めの販売が禁止されているほどです。ダイバーとして海に入る際は、できれば**「リーフセーフ」表示のある環境配慮型日焼け止めを使いましょう。

ノンケミカル(紫外線散乱剤のみ使用)な製品や、生分解性が高いもの、または日焼け止めを塗らずラッシュガードやスーツで物理的に肌を覆う方法も有効です。小さな心がけですが、多くのダイバーが実践すれば大きな効果になります。もう一つ大事なのはゴミの持ち帰りです。ダイビングボート上で出るゴミ(お菓子の包みやペットボトル等)は、決して海に捨てず、必ず陸に持ち帰って適切に処分します。波でうっかり飛ばされないよう、風が強い日は特に注意します。また、ダイバー自身が水中でゴミを見つけたら**、可能な範囲で回収するのも環境保護への貢献です。

ビニール袋や釣り糸などは海洋生物を傷つける厄介者ですから、見かけたらインストラクターに知らせて取ってもらうか、自分で取れるものは持ち帰りましょう。ただし危険物(釣り針付きの釣り糸や油状の汚染物)は無理しないこと。安全に取れるゴミだけで構いません。陸上でもゴミ削減に協力できます。例えば使い捨てプラスチックの利用を減らす(マイボトルやマイバッグを使う)など、できることは多々あります。

ダイバーは美しい海に感謝し、その恵みを未来にも繋ぐ責任があります。楽しむだけでなく、環境に負荷をかけない努力をすることも、エシカルダイビングの一環です。日焼け止め選びやゴミ処理はほんの小さな行動に思えますが、これを怠る人が100人いれば大きな汚染につながります。逆に皆が気をつければ、海洋環境は守られていきます。**「自分くらいいいだろう」ではなく「自分にも何かできる」**という意識で、環境に優しいダイバーを目指しましょう。

オスロブの扱いを理解して選択する(倫理・混雑・安全)

フィリピン・オスロブのジンベエザメ観光は、魅力的である一方、先述したように倫理面で賛否が分かれるコンテンツです。ダイバーがこの問題をどう捉え、どう行動するかは非常に大切です。まず現状のオスロブの扱いを理解しましょう。オスロブでは地元漁師が毎朝ジンベエザメに餌付けを行い、確実に観光客に見せられるようにしています。その結果、ジンベエは本来の回遊をやめ、年間を通じてその海域に留まるようになりました。

研究者や環境保護団体からは、餌付けによる依存症や栄養偏り、繁殖・移動への影響を懸念する声が上がっています。また1日に数百人、多い日で1000人以上が海に入り、ジンベエの周りを取り囲む混雑ぶりです。ダイバー用のルールはありますが、シュノーケラーも多く、接触事故やケガのリスクも指摘されています。こうした情報を踏まえ、行くか行かないかを判断するのは各自です。エシカルダイビングの観点では「野生動物への過度な干渉だから避ける」という意見もあります。

その場合、代わりに自然環境下でのジンベエ遭遇が期待できるポイント(例:レイテ島ソグッド湾など)を選ぶ手もあります。ただし必ず見られる保証はありません。一方、「地元の生計に役立っており、現状すぐに辞めさせることもできないから、訪れて現地の話を聞いて判断する」という考えもあります。実際に行く場合は、混雑を避ける工夫をしましょう。朝一が一番混むので、可能なら9時以降や遅めの時間を狙う、あるいは平日に行く、貸切ボート手配するなど。

また、入水する際は触らない・フラッシュを焚かない・近づきすぎないなど最低限のマナーを厳守し、観察時間も短めに切り上げる配慮が求められます。安全面でも、尻尾に近づきすぎないようにすること(大きな尾ビレでぶたれると怪我します)や、シュノーケルの場合は周囲の他人と衝突しないよう気をつけましょう。選択肢としてオスロブに行かないことも可能ですし、行く場合も節度を持って関わることで影響を最小限にする努力ができます。

大事なのは、何も知らず無邪気に参加するのではなく、現状と問題点を理解した上で自分なりの判断を下すことです。そして、将来的により良い野生生物観光の形が模索されることを願いながら、個々のダイバーができる行動を考えていきましょう。

オペレーター安全性の見極め方

ボート安全設備(酸素・救急箱・通信機器)

安全にダイビングを楽しむには、利用するオペレーター(ショップ)が適切な安全設備を備えているかどうかが重要です。ダイビングボートに乗船したら、まず酸素キットが搭載されているか確認してみましょう。酸素キットとは、緊急時に高濃度酸素を提供する装置で、減圧症や肺の圧力障害などの初期対応に必須です。通常緑のボンベにマスクが付いた形で、見えるところに積まれていることが多いです。次に救急箱(ファーストエイドキット)の有無も大切です。

切り傷や擦り傷、クラゲに刺された場合などに対処できるよう、薬品や包帯など一式揃った救急箱があると安心です。インストラクターに「酸素キットと救急箱はどこにありますか?」と聞いてみても良いでしょう。きちんと装備しているショップは、こうした質問にもすぐ答えられるはずです。さらに通信手段も重要です。万一の際に陸上や沿岸警備隊と連絡を取るため、ボートに無線機や携帯電話が備えられているか確認します。

最近は電波の届く範囲ならモバイル通信が主流ですが、僻地では無線機の方が確実な場合もあります。どちらにせよ、何か起きたとき即座に医療機関や本部と連絡が取れる体制が望ましいです。その他、ライフジャケット(浮力体)の人数分配置、消火器の備えなども見ておきましょう。これらは本来法律で定められている装備でもあります。安全意識の高いオペレーターほど、装備が整いスタッフ教育もしっかりしています。

もし乗ったボートに明らかに酸素も救急箱も見当たらない場合、そのオペレーターの安全管理に疑問符が付きます。そういう時は自己防衛として、自前で簡易ファーストエイド(バンドエイドや消毒液)を持っていると良いですが、根本的には次回から信頼できるショップを選ぶべきです。**安全設備は使われないに越したことはありませんが、「備えあれば憂いなし」**です。お世話になるショップがこれらをちゃんと備えているか、潜る前にチェックし、質問もしてみましょう。万一の際には備えられた設備があなたの命綱となるのですから、遠慮せず確認することが大切です。

インストラクター1名あたりのゲスト数と水中ケア

ダイビングでのインストラクター(またはガイド)1名あたりのゲスト数は、安全と快適さに直結します。一般的な体験ダイビングでは、指導団体の基準でPADIならインストラクター1人につき初心者は最大4名までと定められていますが、実際には1対2や1対1など、より手厚いケアをしているショップも多いです。人数が少ないほど水中で目が行き届き、何かあってもすぐ対処できます。一方、1人のガイドが5人以上を同時に見るようなケースは、明らかに過負荷で危険です。

ですから、予約前やブリーフィング時に**「今日は何人に対してインストラクター(ガイド)は何人か」を確認するのは良い習慣です。もし例えば7人グループでガイド1人だけだったら、こちらから「2チームに分けてもらえませんか」とお願いしてもいいくらいです。適正な人数比として、体験ダイビングなら1:2が理想、最大でも1:4まで。ライセンス保持者同士のファンダイブなら1:6くらいでも対応できますが、それでも少人数制に越したことはありません。

ゲスト数が少なければ、各人のスキルに合わせたペースで潜れ、休憩中の体調確認や写真撮影など水中ケアも行き届きます。逆に大人数だと一人ひとりに手が回らず、不安があっても言い出せない雰囲気になることも。水中ではコミュニケーションが限られるので、なおさらガイドが各人をよく観察している必要があります。少人数だと頻繁にアイコンタクトを取ってくれ、残圧(エア残量)チェックもこまめにしてもらえます。万一トラブルが起きても周囲のバディがすぐ気づきやすいです。

ショップ選びの際、ホームページ等に「最大でも○名様までの少人数制」「グループに専属ガイド」などの記載があると安心材料になります。もちろん人数が少なくてもガイドの質が悪ければ意味がないですが、良いショップほどゲスト:ガイド比を適切に抑え、安全に配慮しています。団体ツアーで人が多い場合は、事前に分割ガイド対応をお願いすることも検討しましょう。

自分が初心者で不安なら、多少費用が上がってもプライベートインストラクター**を付けてもらう選択肢もあります。大事なのは、自分や仲間の安全を確保しつつしっかり楽しむために、適正なガイド人数を確保することです。遠慮せずショップに要望を伝えることも、安全意識の一部だと心得ましょう。

緊急時の搬送・連絡手順の整備

どんなに気を付けていても、ダイビング中に緊急事態が発生する可能性はゼロではありません。例えばダイバーが意識を失った、減圧症の症状が出た、重篤な怪我をしたなどの場合、迅速かつ適切な搬送と医療対応が必要になります。その際、利用しているオペレーターがどれだけ緊急時対応の手順を整備しているかが問われます。理想的には、ショップ側は緊急アクションプラン(EAP)を持っていて、事故時に誰が何をするか明確になっています。

例えば、「ボートキャプテンは直ちに最寄りの港へ全速で戻る」「ガイドは酸素投与とバイタルチェックを行う」「陸上スタッフは近隣の高圧酸素治療施設と救急車を手配する」といった流れです。セブでは最寄りの減圧症治療の高圧酸素チャンバーはセブシティ内の病院にあります。モアルボアルやマラパスクアからだと4~5時間かかりますが、緊急車両や手配があれば多少短縮できるでしょう。

そのため、ショップが予め関係医療機関やダイビング保険会社(DAN等)の連絡先を把握し、緊急連絡網を用意していることが望ましいです。インストラクターやスタッフが救急法(EFR)や酸素プロバイダーの資格を持っているかも一つの指標です。それを持っている人が多ければ、応急手当の知識が共有されている可能性が高いです。実際にゲストとして出来ることは限られますが、事前のカウンセリングで「もし何かあったらどうするのか」さりげなく聞いてみると、そのショップの意識が伺えるでしょう。

しっかりしたところは、「近くの〇〇病院と提携しているので救急車をすぐ呼びます」等具体的に答えてくれます。万一トラブルが起きたら、自分もできる協力をします。他のゲストが倒れたらオクトパスでのレスキューに協力したり、救急車を呼ぶ電話をスタッフに代わってかけるなど。そのためにも、宿泊ホテル名・住所や自分の保険情報をすぐ出せるようにしておくと良いです。結局のところ、緊急時は時間との勝負です。

備えと訓練のあるオペレーターは、ゲストが知らない所で訓練を積んでおり迅速な対応が可能です。ゲスト側も、ショップ選びの段階で安全対策がしっかりしているか重視しましょう。また、自身もダイビング上級者になればレスキュースキルを学ぶことで、有事に役立てることができます。安全なダイビングは備えあれば憂いなし。ショップとダイバーの双方がその意識を持つことが、万が一の際に大きな違いを生むのです。

雨天・高波・強流時の中止判断と返金・振替

オペレーターの安全性を見る上で、悪条件での中止判断が適切かどうかも大事なポイントです。例えば当日が雨で視界が悪かったり、風が強く波が高かったり、潜水ポイントに強い潮流が出ていたりする場合、信頼できるショップほど安全第一で中止や変更を決断してくれます。お客さんとしては潜れず残念かもしれませんが、無理に決行して事故リスクを冒すより遥かにマシです。ですから、そういう時に「今日は中止します」としっかり判断できるオペレーターかどうかも見極めたいところです。

日本人経営のショップなどは特に、安全マージンを取って早めにキャンセル連絡をくれる傾向があります。一方、利益優先で無理に出航するような業者は要注意です(セブでは海洋警察から許可が出ないと船を出せないので、その点では安心ですが)。中止の場合の返金や振替対応も透明性があるか確認しましょう。一般的には、天候不良による中止なら全額返金別日に振替が提案されます。旅行日程上振替できなければ返金が基本です。ただし手配代等実費が差し引かれるケースもあるので、予約時のキャンセルポリシーを読んでおきます。

良心的な店はその辺も柔軟に対応し、例えばボート出航後に1本潜った所で悪化して中止したら未実施分を返金するなどしてくれるでしょう。波や流れが強い日の判断では、場所を変えて穏やかな代替ポイントに連れて行ってくれることもあります。例えばヒルトゥガンが流れ強そうならマクタン沿岸の穏やかなビーチポイントに切り替えるなど、オプションを持っているショップは安心です。そうした変更にも追加料金無く対応してくれるか、事前説明があるかなどもプロ意識の表れです。

ゲスト側としては、中止の決断が出たら潔く受け入れましょう。返金もしくは代替案を提示してくれるなら、それに従います。もし自分がどうしても怖いと感じたら、たとえショップがGoサインでも遠慮なく参加をキャンセルする権利もあります(キャンセル料は規定通りかかる可能性はありますが、安全には代えられません)。安全マージンを優先する運営がなされているかどうか、そしてそれを支持できるゲストかどうかも大事です。

オペレーター選びでは、「ちょっとした荒天でも今日はやめておきましょうと言える所」をおすすめします。海況は時の運ですが、信頼できるガイドと一緒なら無理せず最良の判断をしてもらえ、あなたのダイビングライフを長い目で守ってくれるでしょう。

旅程別ステイエリア選び

マクタン島拠点(移動短・初心者向けスポットが近い)

セブ島での滞在エリア選びは、旅の満足度を左右します。まずマクタン島拠点について。マクタン島はセブ国際空港があり、多くのリゾートホテルが集まるエリアです。最大の利点は移動時間が短いこと。空港からホテル、ホテルからダイビングスポットへのアクセスが非常に良く、初めてのセブ旅行や短期旅行にはうってつけです。例えば到着日にすぐホテルにチェックインでき、翌朝には港からボートでダイビングへ出発できます。初心者向けのヒルトゥガン島やナルスアン島といった人気ポイントもマクタンからボートで30分程度と至近です。日程に余裕がなくても手軽に潜れるのはマクタン滞在の強みです。

ホテルは大型5つ星リゾートから中級ホテル、ゲストハウスまで選択肢豊富です。子連れや家族旅行ならシャングリラやJパークのような充実リゾートでプールやプライベートビーチも楽しめますし、カップルや友人同士ならブティックホテルでも十分です。食事もリゾート内に日本食含む多彩なレストランがありますし、空港やショッピングモールも近いため困ることはありません。観光面ではマクタン島内には歴史的なマクタンシュライン(ラプラプ像)やオランゴ島の自然保護区などこぢんまりしたスポットもあります。

なによりダイビング重視で体験ダイビングや講習をするなら、マクタン島拠点が一番効率的でしょう。反面、リゾート内中心の滞在になるのでローカルな雰囲気は薄く、せっかくのセブを味わい尽くしたい人には物足りないかもしれません。都会的なセブシティへも車で30-60分ですから、希望すればショッピングや夜景鑑賞ツアーに出てもいいでしょう。渋滞には注意ですが。総じて、短期間でダイビングとリゾートライフを楽しみたい初心者にはマクタンが最適です。荷物の心配や移動疲れが少なく、スケジュールに余裕ができるので、初セブでも安心して過ごせるでしょう。

モアルボアル拠点(海街ステイ・サーディンを陸から狙える)

続いてモアルボアル拠点について。モアルボアルはセブ島南西部に位置する小さな海辺の町で、ダイビングスポットが集積したエリアです。ここを拠点にすると、まさに海街ステイが味わえます。リゾート感というより、ダイバーや旅行者が集うアットホームな雰囲気です。最大の魅力は、何と言っても**サーディンラン(イワシ玉)**を陸からアクセスできる点です。パナグサマビーチではビーチから数十m沖合に行けばイワシの大群に遭遇でき、シュノーケリングでも可能なくらい手軽です。

ダイビングもビーチエントリーや短時間のボートで気軽に潜れます。ウミガメポイントやカラフルな珊瑚礁もすぐ近くにあり、宿から歩いてショップ集合→すぐエントリーという快適さです。モアルボアルの町はレストランやバー、ギアショップなどが立ち並び、夜は欧米人ダイバーがビール片手に語らう姿も。物価もマクタン高級リゾートより安く、ご当地レストランで地元料理に挑戦したり、フレンドリーな現地スタッフとふれあう楽しさがあります。

宿泊施設はゲストハウスやダイブリゾートが中心で、シャワーとエアコンが付いたシンプルな部屋が多いです。豪華さはないですが、その分リーズナブルです。サーディンボールを陸から狙えるというのはモアルボアル最大の個性で、これを目当てに世界中のダイバーが訪れます。一方でデメリットは、セブ市内から車で3時間ほどかかるアクセスの遠さです。道中の渋滞や車酔いに注意する必要があります。

また、町自体は小規模でエンタメは少ないので、リゾート滞在のような豪華な娯楽は期待できません。しかし近隣にはカワサン滝のキャニオニングなど自然アクティビティもあり、アクティブ派にはこちらの方が楽しいかもしれません。初心者がここを拠点にするなら、旅程に余裕があり、ダイビングも何本か計画している場合が良いでしょう。

1泊2日では移動疲れしてしまうので、2泊以上してのんびり海三昧がおすすめです。陸からサーディンを楽しむ経験は他ではなかなかできませんから、少し冒険してみたい人にはモアルボアル拠点が魅力的です。現地の海街の空気に溶け込みながら、朝から晩まで海を感じる日々は、ダイバー冥利に尽きるでしょう。

マラパスクア拠点(長期滞在・上級ポイントは回避/見学)

最後にマラパスクア拠点について。マラパスクア島はセブ島北端からボートで約30分の小島で、世界的に有名なダイビングスポットです。特に**ニタリザメ(オナガザメ)**との遭遇率が極めて高く、この島に宿泊するダイバーの多くは早朝ダイブでモンガショール(ニタリの清掃駅)へ向かいます。ただし前述の通り、ニタリに会うにはAOWレベルとディープダイブ(30m)スキルが必要なので、初心者には難しいポイントです。

そのため、初心者の場合は上級者向けポイントは回避する形になりますが、代わりに島周辺の浅場や砂地ポイントでゆったりダイビングを楽しめます。マラパスクアは小さな田舎島で、車もほとんど走っていません。美しい白砂のビーチが広がり、島時間が流れるのどかな雰囲気です。ここを拠点にするメリットは、長期滞在でのんびりできることと、非日常の離島ライフが味わえることです。

ダイビングスポットは外洋に近い分透明度も高く、カラフルなソフトコーラルやマクロ生物が豊富です。初心者でも楽しめるライトハウス(マンダリンフィッシュの産卵が夕方見られる)やガト島(洞窟探検的な地形ポイントですが深度18m程度)、カランガマン島(日帰り遠征の美しい砂洲)などがあります。ただ全般に流れがあったりボート移動時間が長めだったりするので、無理のない範囲でポイント選択するのが肝要です。ショップと相談しながら、自分に合った優しめのポイントだけ潜ることも可能です。

もし一緒に行く仲間が上級ダイバーでニタリ狙いの場合は、初心者の自分はそのダイブには参加せずボート上で見学する手もあります。ボートからサメを見ることはできませんが、雰囲気だけ味わうとか、別グループに混ざって浅場で別行動してもいいでしょう(ショップ次第ですが)。長期滞在に向く環境なので、例えば5泊以上滞在してライセンス講習+ファンダイブ+リゾート気分も味わう、みたいな過ごし方ができます。

島内には安宿から中級リゾートまで揃い、食堂やバーも点在しています。夜は星空が綺麗で、都会にはない静けさです。ただアクセスはセブ市内から車4時間+船30分と遠征感がありますので、最低でも3泊はしたい所です。トータルすると、マラパスクアはある程度時間とリゾート滞在欲があり、まだ上級ポイントは潜れないけど離島の雰囲気を味わいたい初心者には検討の価値があります。

もちろん経験を積んで再訪すればニタリも狙えますし、初回は偵察として島ステイを楽しんでおくのも良いでしょう。ゆったりした島時間の中、フィリピンの素朴な魅力に触れながら潜るマラパスクアは、マクタンやモアルボアルとは一味違う魅力を提供してくれます。

移動時間・宿泊タイプ・周辺食事・観光の比較

ここでマクタン島・モアルボアル・マラパスクアの拠点比較をまとめてみます。まず移動時間ですが、マクタンは空港からホテルまで15-30分で済む手軽さです。モアルボアルは空港から車で約3時間、道路状況によってはもう少しかかります。マラパスクアは車4時間+船30分と一番遠いです。移動に時間を掛けたくない人には断然マクタンでしょう。宿泊タイプは、マクタンは高級リゾートが多く、部屋も設備も豪華でプールやスパ完備。ただ料金も1泊2万~5万円と高めです。

モアルボアルはダイビング民宿・ロッジ系が多く、1泊3000~8000円くらいで泊まれます。エアコンありコテージからドミトリーまで幅広く、アットホームな雰囲気です。マラパスクアは中級リゾートやダイブショップ併設宿が中心で、1泊4000~10000円程度、素朴でのんびりした造りです。電力事情が不安定な宿もあるので要確認ですが、最近は多くが24時間電気・温水シャワー完備です。周辺の食事に関して、マクタンではリゾート内レストランやモール内レストランで日本食・洋食・フィリピン料理何でも揃います。値段は日本と同じかやや安い程度です。

モアルボアルは各国料理のレストランやカフェ、屋台もあり、欧米人向けにピザやパスタも美味しい店があります。値段は手頃(100~300ペソで食事可)。海鮮BBQを出すローカル食堂もあります。マラパスクアは島サイズ故、選択肢は限られますがそれでも多国籍料理店やビュッフェ形式の食堂があります。島の漁師から買った魚を調理してくれる宿も。全体的に素朴でリーズナブル(150~250ペソくらい)です。

観光面では、マクタンはセブ市内観光(教会やSMモール)にも出やすく、オプショナルツアーが色々あります。アイランドホッピングやショッピング、スパめぐりなど飽きません。モアルボアルはアクティブ系自然観光(滝めぐり、シュノーケリング、カワサン滝のキャニオニングなど)が主で、そちらのツアーも豊富です。島内には白砂ビーチ(ホワイトビーチ)もあり海水浴も可。夜はバーでライブ音楽なども楽しめます。

マラパスクアは島内観光としては村歩きやビーチ散策程度ですが、隣のカランガマン島ツアーに出たりシュノーケリングツアーに参加したりできます。島自体のんびりが観光とも言えます。まとめると、初心者で移動も楽に、ダイビング+観光+リゾート満喫したいならマクタンダイビングたくさんしてアクティブに動きたいならモアルボアル長めの日程で離島ステイしつつ落ち着いた環境で潜りたいならマラパスクアがおすすめです。それぞれの特色を理解した上で、自分たちの旅の優先事項に合わせて拠点を決めると良いでしょう。

よくある失敗と回避策(項目解説)

サイズ不適合(スーツ・フィン)→事前採寸と試着のコツ

初心者ダイバーによくある失敗に、レンタル器材のサイズ不適合があります。ウェットスーツが大きすぎて水が入り寒かった、逆にきつすぎて動きにくかった、フィンがぶかぶかで途中で脱げそうになった…等です。これらは潜る前の事前採寸と試着でかなり防げます。まず予約時に身長・体重・足のサイズをショップに伝えておきましょう。日系ショップなら日本人向けサイズを揃えていますが、欧米系だと大きめしか無い場合も。

可能な範囲で自分のサイズに合った器材があるか確認するのが大切です。現地で器材合わせする際は、遠慮せずしっかり試着します。ウェットスーツは素肌に着て、肩周りや股下がフィットしているかチェック。少しきつめに感じるくらいで水中では丁度ですが、明らかに苦しいならサイズアップしてもらいましょう。フィンもブーツを履いた状態で試着し、ストラップを締めて実際に足を振ってみて抜けないか確認します。足首が細い人はストラップに余りが出てしまうことも。その場合スポンジパッドを挟んでもらうなど工夫もできます。

マスクも顔に当てて息を吸い、吸着するか確かめます。店頭では「まあこんなもんか」と思っても、水中では小さな違和感が大きなストレスになります。だから試着は念入りにです。できれば5分ほど着たまま歩いたりしてみて、痛みや違和感がないかチェックすると良いでしょう。女性で髪が長い場合、ウェットスーツを着る際に髪をまとめておくと引っかかり防止になります。事前採寸のコツとして、身体の特徴を伝えるのも大事です(肩幅が広い、足が甲高など)。

ショップ側も適したメーカーや在庫から用意してくれるでしょう。万一現地でピッタリが見つからない場合、無理にそのまま使わず、可能なら別ショップから借りるなども検討を。写真を見て気に入ったスーツを用意してたのに合わなくてガッカリ…なんてこともありますが、安全と快適性が最優先です。最後に、水中ではスーツやフィンの緩みが気になっても自分で調整しづらいですから、入る前にインストラクターに確認してもらいましょう。サイズ不適合は早めに対処すれば防げる失敗です。フィッティングはしっかり行い、適切な器材で快適に潜りましょう。

前夜の深酒・寝不足→当日の集中力低下

旅行気分が高まって、つい前夜に飲みすぎたり夜更かししてしまうのも初心者がやりがちな失敗です。南国の開放感でお酒が進んだり、興奮して眠れず翌日寝不足…これが当日の体調や集中力低下に繋がり、ダイビングを十分楽しめない原因になります。アルコールは前述した通り脱水や減圧症リスクを高めますし、二日酔いだと船酔いもしやすくなります。寝不足は頭がぼーっとし、ブリーフィング内容が頭に入らなかったり、水中で判断力が鈍ったり危険です。

こうしたことを避けるため、前日は節度ある行動を心がけましょう。具体策として、夕食時のアルコールはビール1~2杯程度で切り上げ、その後はスポーツドリンクなどで水分補給しておくこと。カフェインの摂り過ぎも眠りを妨げるので夜のコーヒーは控えます。ダイビングの開始時間に合わせて逆算し、7~8時間睡眠が取れるよう早めに就寝します。どうしても寝付けないときはスマホやテレビを消し、リラックスする音楽をかけたりアロマを焚くのもいいでしょう。

どうしても飲みたいならせめて22時までに切り上げてください。飲み会が盛り上がりすぎそうなら、敢えて「明日早いんで」と先に帰る勇気も必要です。仲間同士だと難しいかもしれませんが、そこはお互い様で声かけ合うのも手です。朝起きた時に頭痛・吐き気など二日酔い症状があるようなら、その日のダイビングをキャンセルする勇気も持ってください(キャンセル料はかかりますが、安全には変えられません)。そして朝食を抜いてダイビングに行くのもNGです。

飲み過ぎ寝不足だと朝食を取る気にならないかもしれませんが、せめて果物やパンを口に入れて血糖値を上げ、酔い止め薬も飲みましょう。万全なコンディションで臨まないと、せっかくの体験が台無しになります。逆に言えば、しっかり休息して臨めば楽しさも倍増します。ガイドも「昨日飲みすぎちゃって…」なんて聞くと不安になりますし、他の参加者にも迷惑かける可能性があります。自己管理もダイバーの大切なスキルです。旅行初日ぐらいはハメを外してもいいですが、潜水前夜はぐっと我慢して体調維持に努めましょう。その分ダイビング後に美味しいお酒を楽しめますし、疲れたらぐっすり眠れるはずです。Avoid drinking and diving、頭の片隅に置いておいてください。

耳抜き不全→潜降前の練習と中止の判断

耳抜きがうまくできずに潜れなくなるケースも初心者には多いです。特に緊張していたり、軽い鼻炎気味だったりすると耳抜き不全に陥りやすいです。これへの対処は大きく二段階あります。まず潜降前の練習と準備です。前日に鼻うがいや入浴などで耳管の通りを良くしておき、当日もストレッチや顎を動かす運動をしておきます。ボートがポイントに着くまでの間にも、何度か軽くバルサルバ法(鼻つまんでフッ)を試して耳の調子を確かめましょう。

潜り始める時は最初の数mが肝心で、浅いうちに頻繁に耳抜きして圧力変化に追いつくのがポイントです。頭を真上に向けたり、耳を上にして片耳ずつ抜きやすくする姿勢も効果があります。インストラクターには「耳が抜けにくいかも」と事前に伝え、ゆっくり潜降してもらうよう頼みましょう。ロープ潜降だと自分のペースを保ちやすいです。耳に違和感があればすぐ合図して潜降を止め、深度を上げて再度トライします。何度か試せば抜けることも多いです。

水面で予め数回耳抜きしてから潜り始めるのも有効です。もしそれでもどうしても抜けない場合は、中止の判断も勇気を持って行うべきです。無理に続けると中耳を傷めたり、最悪鼓膜が破れる恐れがあります。痛みが強い場合は即座に浮上しましょう。インストラクターも中止を提案してくれるはずです。誰かだけ上がるのが恥ずかしいと思わず、安全第一ですから、「ごめんなさい、耳抜きできません」としっかり伝えてください。状況によっては他の参加者だけ続行し、あなたはボートで待機することになるかもしれません。

悔しいですが、体質やその日のコンディションによっては仕方ないことです。帰港後、お店で暖かい飲み物をもらって休んだり、次回へのアドバイスを聞くと良いでしょう。例えば耳鼻科でチェックしてもらう、潜る前に鼻炎薬を使うなど対策があります。また、耳抜きに自信がなければ最初から耳抜き講習を受けるのも手です。日本のプール講習で練習する方法もあります。中止の判断をする勇気もダイビングの重要スキルです。誰もあなたを責めたり笑ったりしませんし、むしろそれで身を守れたのですから正しい判断です。次回万全を期してリトライすれば良いのです。耳抜きは慣れれば大丈夫なことが多いので、落ち込まずまた挑戦してみてください。

船酔い・日焼け・脱水→予防と対処

ダイビングで陥りがちな体調トラブルとして、船酔い・日焼け・脱水があります。これらは事前の予防と万一の対処でかなり回避できます。まず船酔い予防は既に何度か触れましたが、改めておさらいします。前夜の深酒をしない、乗船30分前に酔い止め薬を飲む、朝食は軽く取るなど準備を整えましょう。当日は船の中央で視線を遠くにやり、必要以上に下を向かない。体調に不安がある時はインストラクターに申告し、なるべく早めにスーツを着て海に入れてもらうようにすると、泳ぎ出すと気が紛れることもあります。

対処法としては、気持ち悪くなったら無理せず吐く、横になって休むなど先ほどの項目で述べた通りです。日焼け予防も非常に重要です。曇りでも紫外線は強く、水面や船上では反射光でも焼けます。顔・首・手足にウォータープルーフの日焼け止めを潜る30分前に塗り、こまめに塗り直すか、ラッシュガード・帽子・サングラスを活用します。日焼け止めは環境配慮型が望ましいです。対処としては、すでに焼けてしまったら冷やして保湿します。

アロエジェルなどを塗って休息を。ひどい場合は市販のヒドロコルチゾンクリームなどが効くことも。発熱するようなら医師に相談しましょう。脱水予防は潜っているとつい忘れがちですが、潜水前後・休憩中に意識して水分を摂ることが大事です。理想はスポーツドリンク系で、塩分糖分も補給します。お茶や水だけでは足りないこともあります。トイレを我慢したくないからと水を控えるのは逆効果です。ダイバーにとって脱水は減圧症リスクを高める大敵でもあります。

対処としては、めまいや頭痛を感じたらすぐ日陰で横になり水分を摂取します。酷いときは経口補水液や点滴が必要になることも。気温が高い国では自覚なく汗で水分を失っているので、喉が渇く前に飲む習慣を。ビールやコーヒーばかり飲んでいるとさらに脱水しますので、アルコールの翌朝は特に水を飲みましょう。以上まとめると、船酔いは酔い止めと正しい船上行動で予防、日焼けはUV対策とカバーリングで予防、脱水はこまめな水分・ミネラル補給で予防が肝心です。

どれも症状が出てからでは楽しさが半減します。快適にダイビングを満喫するためにも、自分の体調管理をしっかりしておくことが大切です。もし少しでも異変を感じたら我慢せずスタッフに相談し、適切な対処をしましょう。

写真・バッテリー・メモリのトラブル回避術

水中写真や動画を撮る方が増えていますが、カメラ機材のトラブルもよくある失敗例です。ダイビングに集中できなかったり、せっかく撮ったデータを失ったりしないために、いくつかの回避術を伝授します。まずバッテリー切れです。GoProやデジカメを持参する場合、前夜にフル充電するのはもちろん、可能なら予備バッテリーを用意しましょう。寒くはない海とはいえ、連続撮影すると消耗が早いです。休憩中に電源を落とす習慣も付けます。ボートにUSB充電器を持ち込みモバイルバッテリーで充電するのも手です。

次にメモリ不足。ハイビジョン動画は容量を食います。潜る前にメモリーカード残量を確認し、不要データは事前にPC等に移して空けておきましょう。水中で容量不足になり「あわわ」なんてことは避けたいです。またメモリーカードのエラーも稀にあります。互換性の低い安いカードは避け、信頼できるブランド品を使用しましょう。64GB以上なら動画もたっぷり撮れますが、大容量カードはトラブル時被害も大きいので、32GB×2枚など分散するのも一案。ハウジングの曇りも写真写りを台無しにします。これも前夜までに曇り止め対策を。

シリカゲル乾燥剤を入れる、ハウジングを潜る直前まで冷房で冷やしておいて温度差を減らす、レンズに曇り止め液を塗るなどします。Oリングの挟み込みにも注意です。ゴミや髪の毛が噛んでいたら水没の危険がありますから、閉じる前にOリングを目視チェックしてから蓋をします。水中での撮り逃しも失敗あるある。「充電器に繋ぎっぱなしでカメラ本体をホテルに忘れた」なんて悲劇も。ダイビング準備時にカメラ持った、電池入れた、メモリ入れたと唱えましょう。

撮影に夢中になりすぎて減圧計画をミスるなんて本末転倒ですので、撮影とバディシステムの両立も頭に入れてください。インストラクターと相談し、一時的に岩に掴まって撮影させてもらうなど、協力して安全に撮影するようにします。最後にデータのバックアップ。せっかく撮った写真は、スマホやPCに早めにコピーし、できればクラウドにも上げておくと安心です。旅先でカメラを紛失しても思い出は残ります。まとめ: 機材トラブル回避には事前準備と二重対策が肝心。電池・メモリは余裕を持って、ハウジングの扱いは丁寧に、データはすぐコピー!これで写真係のあなたも安心して海中撮影に臨めます。あとは主役の海をしっかり目に焼き付けることもお忘れなく。

初心者向けミニ用語集(混乱しやすいキーワード整理)

DSD/OWD/AOW/ノンデコ

ダイビング関連で初心者が混乱しやすい略語や用語を簡単に整理します。まずDSDとはDiscover Scuba Divingの略で、先述のようにPADIの体験ダイビングプログラムの名称です。ショップのプラン表などに「DSDコース」と書いてあったらライセンス不要の体験ダイブだと分かります。次にOWDAOW。これらはライセンス(Cカード)のランクで、OWDはOpen Water Diver(オープンウォーターダイバー)、つまり初級認定証です。最大深度18mまで潜れる技術と知識を習得したという証です。AOWはAdvanced Open Water Diver(アドバンスド・オープンウォーターダイバー)の略で、中級ランクの認定証です。

ディープダイブやナビゲーションなどを経験し、深度30m程度まで潜る訓練を受けた証です。よく「免許」と誤解されますが国家資格ではなく、各指導団体が発行する認定カードです。世界中のダイブショップで提示を求められ、どのランクかで潜れる範囲が決まります。ノンデコNo Decompression Limitの略称で、日本語で「ノンデコ限界」「減圧不要限界」とも言います。簡単に言うと減圧症にならずに直接浮上できるダイビングの限界時間です。

これを超えると減圧(減圧停止)が必要な危険なダイビングとなり、レクリエーショナルダイビングでは超えないよう計画します。ダイブコンピュータや表で管理します。「ノンデコダイブ」と言えば減圧不要内の普通の潜り方という意味です。これに関連して減圧症(Decompression Sickness, DCS)という単語も知っておきましょう。急浮上やノンデコ超過で起きる潜水病で、窒素ガスが血中で気泡化し関節痛や神経障害を引き起こすものです。だからノンデコルールを守る必要があるわけです。

以上、DSD/OWD/AOW/ノンデコをまとめると、DSD=体験ダイビング、OWD=オープンウォーターライセンス、AOW=アドバンスライセンス、ノンデコ=減圧不要限界です。会話例:「私はOWD持ってるけどまだノンデコとかよくわからなくて…」「大丈夫、AOW取ればディープも習えてノンデコ管理も身につくよ」とか、「彼はAOW持ちだからニタリ行けるけど君はOWDだからドロップオフの浅瀬だけね」とか。初心者のうちはピンと来なくても、徐々に馴染んでくるでしょう。ぜひ知識として頭に入れておいてください。

サージ・サーモクライン・エントリー/エグジット

次に環境や動作に関する用語をいくつか。サージ(Surge)とは、浅場で感じるうねりによる前後の水の揺れのことです。波が大きいと水中の浅い場所で体が前後にゆっくり揺さぶられます。これをサージと呼び、程度が強いと岩にぶつからないよう注意が必要です。サージがある=うねりがある日ということなので、船酔いとか視界不良も想定されます。浅い水深でしか感じませんが、初心者はびっくりするので知っておくと良いでしょう。サーモクライン(Thermocline)は水温躍層とも言われ、水中で急に水温が変わる層のことです。深く潜るとしばしば冷たい水の層に当たります。

そこに入ると視界がゆらゆらしたり、急に寒くなったりします。サーモクラインがあると下から冷水が湧いている証拠で、プランクトン豊富だったり魚の動きに影響したりします。ダイバー的には「うわ冷た!」という現象です。ウェットスーツは全身を覆っていればまあ大丈夫ですが、長くその層にいると体温奪われるので安全範囲を超えて潜らないようにします。熱帯ではあまり顕著ではないですが、あるところにはあります。エントリー/エキジットはダイビング英語の基本です。

エントリー(Entry)=水に入ること、エキジット(Exit)=水から上がることです。ボートエントリーにはジャイアントストライド(大きく一歩踏み出す)やバックロール(背中から転がる)があり、ビーチエントリーは歩いて入ります。エキジットもボートラダー(梯子)を上るか、ビーチを歩いて上がります。ガイドが「エントリーしまーす」と言ったら海に入る準備、「エキジットしまーす」と言ったら終了上がる準備ということです。

「エントリー前にもう一度耳抜きしてー」とか「エキジットはフィン脱いでから上がってね」といった使い方をします。これらは和製カタカナとしても普通に使われるので覚えておきましょう。ちなみにボートパーツ(船の各部名称)も知っておくと便利です。「バウ(船首)側からエントリーする」「ラダー(梯子)はスターン(船尾)についている」などです。左舷はポート、右舷はスターボードと言いますが、初心者にはあまり使わないかも。

手信号については以前触れましたが、OKサイン、アップ(親指上)ダウン(親指下)、残圧いくつ(指数字)などがあります。最後に計器の基礎ですが、ダイバーが持つメーターは残圧計(SPG)、深度計、コンパス、ダイブコンピュータなどです。インストラクターが「残圧いくつ?」と手信号してきたらSPGを見て数字で答えます。SPGはSubmersible Pressure Gauge、水中圧力計でタンク内の空気圧力を示します。

単位はbarまたはpsi。100barなら残り半分とか言います。ダイブコンピュータは水中の電子頭脳で、深度、潜水時間、ノンデコ限界などを教えてくれます。これに従って潜るのが現代の潜水です。とまあ専門用語はたくさんありますが、初心者のうちはキーワードだけ押さえて、実践の中で覚えていけばOKです。分からない用語は遠慮なく質問するようにすると、上達も早いでしょう。

ボートパーツ・手信号・計器の基礎

上で出てきたボートパーツ(船の部分名称)や手信号計器類を補足しておきます。ボート上でよく使われる言葉は、「前(バウ)」「後ろ(スターン)」「左舷(ポート)」「右舷(スターボード)」です。ガイドが「エントリーはスターンから行います」と言えば船尾から海に入るという意味です。また、ボートにはエントリー/エグジット用のプラットフォーム(後方の板状の踏み台)やラダー(梯子)がついています。

上がるときは「ラダーにつかまったらフィンを外してください」といった説明をされます。手信号の基礎もいくつか押さえましょう。OKサインは親指と人差し指で輪を作る👌で、問いかけと回答に使われます。カタログ写真でよく見るあれです。問題/異常は水平にした手を揺らす🙌動作や「ノー(手首をひねる動作)」で表現します。上昇したいは親指一本を立て上向きに👍(goodの意味ではないので注意)、下降したいは親指を下に向ける👎です。

残圧は残り100barなら人差し指1本+両拳(意味: “100” を表す)、50barなら片手パー✋で5本。耳が痛いは耳に手を当て(抜けてないの合図)、残り時間/残り○分は手のひらでダイバーウォッチを指し示します。コンパスを指し示す仕草や方向を指さす動作もします。計器類の基礎は、残圧計(圧力ゲージ)は空気残量を表示する大事なメーター、深度計は今の水深を示すメーターです。ダイブコンピュータはこれら機能をまとめさらに無減圧時間等を計算してくれる優れものです。

コンパスは方向を知る器具ですが、水中ではガイドについて行く場合あまり使いません。ナビゲーション練習の時に使います。タンクにはバルブと呼ばれる開閉弁が付いており、これを全開にして空気を送ります。レギュレーターはタンク圧を人が吸える圧に減圧する器具で、口につける二段階目をオクトパスとも呼びます。黄色いやつですね。もし器材の説明が英語で分からなくても、焦らず指さし確認させてもらいましょう。

混乱しやすいキーワードは焦らず整理することが大事です。ダイビング中に不明な言葉が出てきたら、浮上後に聞いてクリアにしておきましょう。「ボートのスターンてどっちでしたっけ?」など遠慮なく。インストラクターは喜んで教えてくれます。用語の理解は安全にも関わるので、恥ずかしがらず確認することがプロへの第一歩ですよ。

120ルールの位置づけと「現代の潜水計画」

120ルールの意味と“簡易目安”としての限界

以前触れた120ルールについて、改めてその位置づけを説明します。120ルールとは古くから伝わる潜水計画の簡易指標で、「最大深度(フィート)+潜水時間(分)=120以内に収める」というものです。例えば60ft(約18m)で60分なら合計120、80ftなら40分以内、100ftなら20分以内という具合です。このルールが守られていれば減圧症にならないと昔は言われたもので、複雑な計算をせず覚えやすいため広まっていました。

しかし実際には、水深によって窒素の吸収率は非線形に変化しますし、複数ダイブや休憩時間など考慮すべき要素が多々あります。120ルールはあくまで単一ダイブにおけるざっくりした**“簡易目安”に過ぎず、しかもフィートと分の組み合わせなのでメートル法の我々には馴染みにくいです。現代ではダイブコンピュータが普及し、正確な無減圧時間をリアルタイムに提示してくれますから、120ルールに頼る必要はほぼありません。

実際に120ルールを厳密に守ったとしても、例えば36m(約120ft)で0分しか潜れない計算になりますが、実際の無減圧限界では18分程度潜れます。逆に浅い場合はだいぶ余裕があるので問題なさそうですが、一概には言えません。120ルールの限界として、これは1気圧=33ftとする米海軍表に由来するものなので、一般ダイバーの安全マージンとはややズレていることも指摘されます。ましてや反復ダイブ、減圧ダイブには適用できませんし、体調や個人差も無視しています。

結局のところ、120ルールは旧時代の簡易ガイドラインであり、現在では参考程度以上の意味は持ちません。初心者ダイバーが覚えるべきは、コンピュータやダイブテーブルに従って安全停止を行うという標準的な計画の立て方です。もし120ルールに触れる機会があったら、「そういう昔の目安もあったんだな」と知識として留めておき、過信しないことが肝要です。歴史的背景としては、エグザムで減圧表を使えないときの暗算の助け程度の位置づけでした。

現在は120ルールに則って潜るダイバーはほとんどいないと言っていいでしょう。ですから120ルール=古い習慣**と認識し、現代は次に述べるコンピュータ重視の潜水計画が主流であることを理解してください。安全のためには、旧い目安より最新のテクノロジーに従うのが賢明です。

ダイブコンピュータと最新プラクティス(深度・時間・安全停止)

現代のレクリエーショナルダイビングでは、ダイブコンピュータ(ダイコン)を使った潜水計画が標準です。ダイコンは現在の深度・潜水時間・無減圧限界などをリアルタイムで計算し表示してくれる小型コンピュータです。120ルールのような単純計算に頼らず、複数ダイブや減圧理論に基づいたより正確なデータで行動できるメリットがあります。具体的には、潜り始めるとダイコン画面に「NDL(No Deco Limit)」=その深度であと何分潜っていられるかが表示されます。例えば18mならまだ60分と表示され、深く行くと短くなります。

これを見ながらダイビングを進め、NDLが5分を切る前に浮上開始することで減圧症リスクを避けます。ダイコンは過去のダイブ履歴も考慮し、反復潜水でも安全になるよう値を計算しています。安全停止も深度と時間をガイドしてくれます。通常、水深5mで3分間とプログラムされていますが、最近はより安全のため深度5mで5分を推奨するケースもあります。これもダイコンで確認できますし、長めに止まる分には構いません。また、上昇速度もダイコンがアラームで教えてくれます。

例えば上昇が速すぎるとピピッと鳴って警告するものが多いです。現代の最新プラクティス(実践)では、ゆっくりした上昇(9-10m/min)、必ず安全停止、適切な水面休息、18-24時間のノーフライト時間などが標準的なガイドラインとなっています。ダイコンもこれらをサポートする機能を備えています。初心者は最初インストラクター任せで構いませんが、Cカード取得後は必ず自分専用のダイブコンピュータを持つことが推奨されます。

レンタルもありますが、センサー類は繊細なので自分の体に合ったものを使う方が信頼できます。最新の潜水計画では、ダイコンとダイブログ(ログブック)で過去のデータを管理し、健康管理もしつつ楽しむのが普通です。プロフェッショナルダイバーに至っては減圧ソフトを使ったりもしますが、レクリエーショナルではそこまで必要ありません。

初心者はインストラクターの管理下で安全第一に潜りますが、やがて自立したダイバーになるにつれ、こうした現代的な機器を活用した潜水計画に慣れていくでしょう。120ルールなど古い知識は歴史として学びつつ、実際にはダイブコンピュータ頼りでOKです。もちろんそれに胡坐をかかず、コンピュータを正しく使い、指示に従う習慣をつけましょう。これが安全ダイビングの礎となります。

初心者はインストラクター管理下で安全第一に

最後に、繰り返しになりますが初心者ダイバーの潜水計画は常にインストラクター(またはプロのガイド)の管理下で行われ、安全第一が最優先されます。ダイビングの世界は経験と知識がものを言う部分が多く、初心者が自己判断で無茶をしないことが肝心です。「120ルール」だの「減圧理論」だの話しましたが、これらはあくまで背景情報で、初心者が自分で使いこなす必要はありません。むしろ難しいことはプロに任せ、自分は基本スキルと安全意識に集中する方が良いのです。

インストラクターはダイコンを持ち、あなたの残圧や体調を気にかけ、常に余裕を持ったスケジュールで潜ってくれます。あなたはOKサインを返し、耳抜きに専念し、綺麗な魚を楽しむだけでいいのです。無論、減圧症やトラブルをゼロにするにはダイバー自身の協力も必要で、例えば疲れているときは潜らない前夜飲み過ぎない焦らずゆっくり対処するといった自己管理が求められます。

しかし深度・時間・無減圧限界の管理など技術的な部分は、初心者の間はインストラクターが責任を負ってくれますので、「言われたとおりにする」ことがまずは大事です。よくある事故例で、「若い男性ダイバーがインストラクターの制止を振り切って深追いし減圧症になった」とか、「初心者同士で潜って迷子になった」などがあります。初心者単独または初心者同士では絶対に潜らないことが鉄則です。だからこそ体験や講習ではマンツーマンに近い形で安全ケアがされます。

Cカード取得後も、経験が浅いうちは信頼できるガイドと潜りましょう。ダイブコンピュータも自分で買ったら正しい使い方を教わり、それに従うこと。焦らず、無理せず、安全第一を常に心に念じてください。海は楽しい反面、自然相手の危険も孕みます。インストラクターの指示に反して勝手な行動をしないよう、自制心も持ちましょう。上級者になれば自分で潜水計画を立てられるようになりますが、それまではプロの管理下で守られていることを忘れずに。「自分はまだ知らないことだらけ。インストラクターを信頼しついて行こう」という姿勢が、あなたの安全を守り、ひいては上達への最短ルートでもあります。謙虚な初心を忘れずに、これからも安全ダイビングを心がけてください。

帰国後のケアと次のステップ

耳・肌・疲労のケア

楽しいダイビング旅行を終えて帰国した後も、体のケアをしっかり行いましょう。まず耳のケアです。飛行機で耳抜きがしにくかったり、水が残っている感じがする場合があります。帰宅後にぬるめのシャワーで耳に入った塩水を洗い流し、ドライヤーの弱風で耳を乾かすと良いです。耳に水が残って気持ち悪い場合、アルコール系の耳洗浄液(市販の「耳垢水抜き薬」など)を垂らすと水分を飛ばせます。ただし強く綿棒を入れたりはしないでください。

ダイビング後しばらくは気圧変化にも敏感になるので、鼻をつまんで軽く耳抜きしたり、あくびなどで耳管を開通させましょう。痛みがあれば耳鼻科受診を検討します。続いて肌のケア。南国の日差しや海水で肌は結構ダメージを受けています。日焼けしていなくても、乾燥や潮で肌荒れしやすいので、しっかり保湿しましょう。特に顔は低刺激のアフターサンローションや普段のスキンケアでたっぷり潤いを与えてください。海水は髪にもダメージなので、帰国後は洗い流してトリートメントすると元の手触りに戻ります。足や手も長時間水に浸かったので角質が白くふやけた感じになりますが、一晩たてば戻ります。あまりゴシゴシ擦らないで保湿クリームを塗っておけばOKです。

が割れた人は、マニキュアやネイルケアで補修しておくと良いでしょう。最後に疲労回復です。楽しかった反面、長旅や複数日ダイビングで体は疲れています。帰国翌日は可能ならゆっくり休み、十分な睡眠を取りましょう。筋肉痛があれば入浴してマッサージすると効果的です。ダイビング後は微妙な減圧ストレスで体がだるいこともあり、これは窒素の名残とも言われています。水分を多めに取り、軽いストレッチで血行を良くすることが回復を早めます。

免疫力が落ちて風邪をひきやすいので、体を冷やさず栄養のあるもの(タンパク質、ビタミン)を摂ってください。特にビタミンCは日焼け肌の修復と疲労軽減に役立ちます。休みが取れない場合も、夜は早めに寝るようにしましょう。旅行中の写真整理などは元気が戻ってからでもできます。万一、帰国後に耳鳴りが止まらない、関節が痛む、皮膚に不思議な発疹などが出た時は、念のため潜水医学に詳しい医師に相談してください。

減圧症の軽微な症状が遅れて現れることも稀にあります。たいていは疲労や筋肉痛ですが、心配ならダイビング保険の窓口に電話でも良いです。大抵の場合、帰国後はゆっくり休養すれば元気回復します。しばらくはボーッと水中の光景を思い出してしまう「海に心がまだある状態」になるかもしれませんが、それも正常です(笑)。無事旅行を終えた自分と仲間を労わり、次に向けて英気を養いましょう。

写真・動画の整理と共有

旅の思い出を残す写真や動画の整理も、帰国後に是非やっておきたい作業です。ダイビング中に撮影したGoPro映像や水中写真、陸でのスナップなどデータは盛りだくさんのはず。まず、忘れないうちにバックアップを取りましょう。自宅のPCに全データをコピーし、可能なら外付けHDDやクラウドにも保存します。スマホで撮った写真もクラウド同期しておけば安心です。次に選別です。ぼんやりした写真や重複したシーンは思い切って削除し、良い写真だけを残すと後々見返しやすくなります。

お気に入りはフォルダ分けやファイル名変更で分類しましょう。例えば「サンゴと私.jpg」「ジンベエ snorkel.mp4」などタイトルを付けると探しやすいです。動画は長回ししている場合、必要な部分だけ切り出す編集をすると良いでしょう。簡単な編集ソフト(スマホアプリでもOK)でカットしたりBGMを付けたりして、ハイライトムービーを作るのも楽しいです。例えば1分程度にまとめたダイジェストをSNSに上げれば、友達も見やすいですよ。共有にあたっては、一緒に潜った仲間やガイドにもお裾分けすると喜ばれます。

LINEのアルバム機能やGoogleフォトの共有リンクなどを使えば、容量の大きい動画も渡せます。特にガイドが写っている写真など送ってあげると、ショップの宣伝にも使ってくれるかも。配布には個人情報が写ってないかなど気を配りつつ、SNS投稿するならハッシュタグ(例: #セブ島ダイビング)を付けると他のダイバーとも繋がれるかもしれません。ただしタグや位置情報で個人の特定に注意して下さいね。写真をプリントしてアルバムにするのも良いでしょう。

今はフォトブックサービスが安く簡単に使えます。お気に入り10枚くらい現像して部屋に飾ると、日常でも楽しかった旅を思い出せます。共有したいけどSNSで公開はちょっと…という場合、家族や親しい友人だけ見られるオンラインアルバムを作る手もあります。大事なのは撮りっぱなしにせず形に残すことです。データはPCの肥やしになりがちですが、自分で見返すのも成長に繋がります。「あの時耳抜き苦戦して顔がこんなだ」「浮力うまく取れてないな」など気づくことも。

もちろん純粋に楽しい思い出として、辛い日常(笑)の慰めにもなります。次回のダイビングへのモチベーションもアップするでしょう。共有時は他の人が写っている場合許可を得るなどマナーも忘れずに。素敵な思い出をしっかり整理・共有して、旅行の締めくくりとしてください。きっとまたセブの美しい海に戻りたくなりますよ!

次回に向けたライセンス取得計画(学科・限定水域・海洋実習)

今回体験ダイビングを楽しんだ方や、すでにOWDを取ったけどもっと上を目指したい方は、次回に向けたライセンス取得計画を立ててみましょう。もしまだライセンスを持っていないなら、OWD(オープンウォーター)コースへの挑戦がおすすめです。セブでも今回体験したショップでOWD講習を開催しています。一般的なOWDコースは3日間程度で、学科講習+限定水域(プール実習)+海洋実習4本がセットになっています。これを一度の旅行でやり切るのも可能ですが、時間が厳しければ学科(とプール)を先に日本で済ませておく方法もあります。

PADIではオンライン学習(eLearning)で事前に学科を修了できますし、プール実習のみ国内の潜水プールでやって、海洋はセブで…というオープンウォーターダイバー講習の「リゾート&ホームプラン」もあります。そうすれば現地では海に潜る実習だけでいいので効率的です。また、日本でOWDを取得してから次回セブでAOW(アドバンス)講習に進む手も。AOWは2日間5ダイブで取れるので、次回4日くらいの日程が取れればサクッと取れます。

AOWがあれば30mまで潜れ、ナイトダイブや沈船ダイブなども経験できるので、セブ周辺のサメや沈船ポイントにも挑戦可能です。一方、既にOWD持ちで次回ファンダイブしたい方は、よりスキル向上のプランを立ててはどうでしょう。セブにはプロカメラマン付きのフォト講習や、ピークパフォーマンスボイヤンシー(中性浮力)のSPコースなどもあります。学科は正直座学で少々退屈かもしれませんが、安全のため重要です。

eLearningなら好きな時にできるので活用してください。限定水域実習(プール)は基本スキルを身につける大事な時間です。日本のプールで透明度抜群の環境で落ち着いてやるのも良いですし、セブの浅瀬で魚を横目に練習するのも刺激的です。海洋実習はできれば穏やかな環境でゆったりやりたいので、次回行く時期や場所も検討に入れましょう。例えば乾季の波静かな時期に合わせるなど。ライセンス取得後はバディ潜水も可ですが、最初のうちはガイド付きで経験を積むのが無難です。

次の目標を明確に持つと、日々の仕事や勉強も頑張れます。「次はOWD取って、自分で中性浮力マスターするぞ」「次はAOW取ってニタリザメ見にマラパスクア行くぞ」などモチベーションを高めましょう。もちろん無理せず、自分のペースで大丈夫です。大切なのは安全に楽しく潜り続けること。今後の計画を立てる時は、お世話になったショップに相談するのも良いですし、日本のダイビングスクールを利用するのも一手です。ぜひ今回の経験をステップに、次のダイビングライフを充実させてください。

器材を買うかレンタル継続かの判断軸

ダイビングにハマってきたら、ふと考えるのが器材を買うべきかレンタルのままでいくかです。その判断にはいくつかの軸があります。まず潜る頻度。年に1~2回リゾートダイブ程度なら、レンタルでもコスト的に問題ありません。レンタル料金はフルセットで1日数千円ですから、それほど負担ではないでしょう。逆に月1以上潜るとか国内で継続的に潜る予定があるなら、自分の器材を持った方が結果的に快適かつ経済的です。特に国内のダイビングショップは基本自前器材前提なところも多く、レンタル費がかさみます。

次の軸はフィット感や清潔感へのこだわりです。自分の体型に合ったスーツやBC、マスクなどを追求したいなら購入が吉です。レンタルはサイズの選択肢が限られたり、不特定多数が使うので多少の劣化やニオイは避けられません。自分のものなら手入れも行き届かせられます。特にマスクブーツマウスピースなどは個人の好みが出やすいので、最初に買って損はないです。第三の軸はコスト。フル器材セット揃えると中古含めても数十万円はします。

気軽ではないので、段階的に揃えるのも手です。例えばまずダイブコンピュータとマスク・スノーケル・フィンを買い、スーツやレギュ、BCはレンタルにする。コンピュータは安全上必須アイテムですし、マスク等は衛生面とフィットで買う価値大です。スーツはサイズオーダー品を持つと快適度が段違いですが、海外リゾートのみなら現地レンタルでも問題ないと考える人も。寒い海に行くなら自前ドライスーツが必要ですが、それは上級者の話でしょう。

BCやレギュは重く管理も手間なので、潜水本数が少ないうちはレンタルでも構いません。ただ何度も借りるうちに毎回セッティングが違うと上達に影響する側面もあります。ダイバーは自分の器材を使いこなして一人前と言われるので、本格的に続けるならいずれ自前を揃えることをおすすめします。最後の軸は旅のスタイル。海外に飛行機で行くことが多いなら、器材輸送が面倒という声も。だが最近は航空会社にスポーツ器材無料枠があったり、ハードケースの大型スーツケースで運べたりするので、慣れれば平気です。

オールレンタルなら荷物が軽くて済みますが、現地で合わない器材だとストレスです。トレードオフですね。総合すると、潜水頻度高い、国内潜る、快適さ求めるなら購入、たまに南国で潜る、管理や費用が負担ならレンタル継続です。ちなみにレンタル派でもマスクとコンピュータは持つべき、購入派でもタンクやウエイトは借りれば十分など、適材適所です。

周りの経験者に相談するのもいいでしょう。いずれにせよ、安全を左右する器材なので、買うなら信頼できるメーカーのしっかりしたものを選んでください。器材を持つと愛着が湧きダイビング熱も高まりますが、買って満足し潜らなくなる人もいるので、自分のダイビングライフを見極めて判断しましょう。

まとめ|安全に楽しく、セブで初めてのダイビングを成功させるポイント再確認

計画・安全・環境配慮・適切なショップ選び

長文となりましたが、最後にこのガイドの要点を総まとめしておきましょう。セブ島で初心者が初めてのダイビングを成功させるには、以下のポイントが大切です。

  • 事前の計画と準備: 渡航日程やダイビングスケジュールを無理なく組み、飛行機前後のノーフライタイムも余裕を持って確保しましょう。繁忙期は早め予約、天候不良時の代替プランも想定しておくと安心です。学科予習や耳抜き練習など、自分でできる準備もして臨めば当日の不安が減ります。

  • 安全第一の意識: ブリーフィングやインストラクターの指示をよく聞き、焦らず落ち着いて対処すること。耳抜きや体調に異変があればすぐ伝え、無理せず中止する勇気も重要です。ゆっくりした浮上と安全停止を必ず守り、保険加入や緊急連絡方法も確認しておきます。自分の身は自分で守るという気概を持ちましょう。

  • 環境への配慮: サンゴや生物を傷つけないフィンワークに徹し、触らない・追い込まない・餌付けしないの3原則を守ります。環境に優しい日焼け止めを使い、ゴミは必ず持ち帰ります。オスロブなど倫理議論のあるアクティビティは十分理解した上で行動を。美しい海を未来に残すのは我々ダイバーの責務でもあります。

  • 適切なショップ選び: 経験豊富で安全意識の高いショップ・ガイドに任せることが、初心者には何より大切です。日本語対応や少人数制、酸素救急設備完備などを基準に信頼できるオペレーターを選びましょう。実績や口コミを調べ、納得して任せられる相手なら、安心感が違います。ショップとの十分なコミュニケーションも大事です。料金や条件を明確にし、疑問は事前に解消してください。

以上4点は、本ガイド全体を通して繰り返し強調してきた要です。さらに加えるなら、体調管理(飲みすぎ・寝不足しない等)、器材フィッティング(サイズを合わせ快適に)、ステップアップ目標(次に繋げる学びの意識)も成功のポイントと言えます。

「無理しない・焦らない・楽しむ」の3原則

最後に初心者ダイバーに贈る合言葉として、**「無理しない・焦らない・楽しむ」**の3原則を掲げたいと思います。これはセブで初ダイビングを成功させる上で、心に留めておいて欲しい大原則です。

  • 無理しない: 自分のスキルや体力の限界を超えて頑張りすぎないこと。耳抜きに手こずれば一旦停止、疲れていたら1本減らす、怖ければ中止するといった判断を恐れず行いましょう。ダイビングは継続可能な趣味です。一度できなくても次があります。健康と安全があってこそのレジャーですから、決して無理は禁物です。

  • 焦らない: 水中では想定外のことが起きても、すぐ解決策があります。マスクに水が入ったらゆっくりクリアすればいい、残圧が減ってきたら早めに上がればいい、何事も冷静に対処すれば大丈夫です。焦ってパニックになるとミスを招きます。インストラクターも常に見守っているので、一呼吸おいて落ち着き、的確な対応を心掛けましょう。上達にも近道です。

  • 楽しむ: せっかくセブまで来て海に潜るのですから、心からその時間を楽しんでください。カラフルな魚や珊瑚に出会ったら素直に感動し、青い世界に身を委ねる心地よさを味わいましょう。緊張は最初だけ、潜降してしまえばきっと笑顔がこぼれるはずです。うまくできないことがあっても、それも含めて初めての体験の醍醐味です。次はもっとこうしようと前向きにとらえ、笑顔で海から上がってきてください。

この3原則は、初めてのみならずダイバー人生を通じて有効な心得です。「無理しない・焦らない・楽しむ」を胸に、安全を確保しつつ最大限にセブの海を堪能してきてください。

セブ島での初めてのダイビングは、きっと一生忘れられない素晴らしい思い出となるでしょう。

本ガイドで学んだ知識と心構えを活かし、ぜひ現地で実践してきてください。透明度抜群の海、カラフルな魚群、優しいインストラクター、美味しい南国料理、人懐こい現地の人々…全てがあなたのダイビングデビューを応援してくれるはずです。

安全に注意しつつ、どうか存分に楽しんできてくださいね。

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